第5回火災時の防災訓練 ~言葉の魔力~

2016年10月27日

 今回は、直下型地震後、家庭科室より火災が発生したとの想定です。前回までの訓練(地震避難訓練と津波避難訓練)と比較させながら、速やかな避難行動を進め、全員が安全にかつ迅速に小グラウンドまで避難できるかが、ねらいとなります。
 
「火事だぁ。」

 20秒間の火災報知器の強烈なブザーの音。業者との事前打ち合わせを終えて、いつもと違う訓練にするための工夫もしました。昨日参加した講演会で聞いた話も参考にしました。

・「慌てずに、移動してください。」と言えば、慌てます。
・「ゆっくり歩いて移動してください。」と言えば、ゆっくり歩きます。
・「走らないで…。」と言えば、走ります。
・「安全に注意して」と言えば、安全に注意します。
 
 アナウンスも「ただちに避難…」を「落ち着いて避難…」に変え、「ゆっくり」「安全に」と言う言葉の魔力を信じて伝えました。

 結果はその通りでした。全校児童が、落ち着いて避難していたように感じました。担任や授業担当者の的確な指示もあったでしょうが、小グラウンドに集まった子どもたちは体育座りで落ち着いていました。
 
 次は、講評の3分間。地震より火災によって多くの死者が出た約20年前の阪神淡路大震災の話。死者6,434人、朝5時47分、早い時間に台所で調理をしていて火災に巻き込まれてしまった従兄弟。「どうしようもなかった…。寝ていれば、違っていたかも。」と、何度も聞いた話を浮かべて、地震時の火の始末を強調し伝えたつもりです。ただ、子どもたちは見たことがないため、阪神淡路や東日本の大震災の凄まじさを感じずらいのです。伝えるための工夫がもう少し必要であったと反省しました。

 訓練後の子どもたちの反応も様々。

●ドキッとしたよ。急に大きな音が出るから。
●結構ビックリした。机の下に潜って、また一度机の下に潜り直したよ。
●地震と火災が一気に起こるとは知らなかったから驚いた。
●一歩間違えると、怖いことが起きるんだね。6000人以上が死んだんでしょ。
●色々なパターンの避難があるんだね。
●学校が燃えているのに、話をしている場合ではなかったよ。
●パニック。なぜ、火事で大変なのに校長先生は話をしていたの?逃げなきゃ。遠くに。
●マイクが小さすぎて、聞こえなかった。
●火事の時、第1が小グラ、第2が大グラ、そして津波が来たらアリーナだね。階段を上ってみないと。
 
 臨場感があったためか、訓練ではなく本当に火災が起きたと思った子どもが何人かいました。
 
 アフタースクールのスタッフと非常勤講師・お掃除の方、用務員の方も参加し、小学校全体で行いました。アフタースクールとも摺り合わせ、避難の基本を確認しました。今日のけが人・足の悪い人を共有していたので、先生方に補助について頂く指示もしながら、子どもたちの健康を共有しているからこそ、的確な判断が出来ると思いました。
 
「次は、抜き打ちでの訓練が必要です。」
と、6年児童からの声に、子どもたちの防災意識の高まりを感じました。色々なパターンを想定して小学校全体で取り組んでいる避難訓練。今日の反省を生かし継続して取り組んでいきます。