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学びBlog

大島渚著 絵本タケノコごはんを語る-大島武氏による特別授業

2015年11月5日

6年生の特別授業に絵本『タケノコごはん』の作者のご子息である大島武氏をお招きし、特別授業を実施しました。
 
故・大島渚氏(映画監督)と小山明子氏(女優)のご子息でいらっしゃる大島武氏は東京工芸大学の教授であり、湘南学園小学校の卒業生です。

湘南学園小学校時代、宿題としてお父さまが書かれた作文が、絵本『タケノコごはん』の原案になったことから、今回特別授業を実施していただくこととなりました。


今回の特別授業のテーマは「想像力を高めよう!」です。
他者の体験を自分の学びにかえるために大切なものは “想像力” であることをこの授業では学びます。
 
最初に、コミュニケーションの基本についてお話がありました。

メッセージとは「コード化」であり、受け手はそれを「解読」します。

「犬といえば?」という問いに対して、
・動物
・かわいい
・ペット
など、十人十色の答えがあるように、その受け手の「解読」によって幾通りもの答えがある、と。
 
次に、わかりやすく話すことの重要性を体験的に学びました。
子どもの代表者1人にだけ図形を見せ、それを言葉で説明してもらい、他の6年生は口頭で説明されたことからその図形を想像する、というものです。

・まるが2個、四角が3個あります。

・下のほうに丸と四角があります。

・丸の上にひし形が1個。

・ひし形のななめ上に四角が1個。

・その上に丸がもう1個あります。

 
さて、どのような図形が正解だったのでしょうか?

 

想像して考えることはなかなか難しいですね。

ゲームをして、想像力を意識しはじめた頃、
昔話を聞いて想像してみることに・・・。

それは、絵本『タケノコごはん』についてのお話でした。
 
この絵本の原案となったのは小学校時代の宿題だそうです。

お父さんやお母さんに頼んで子ども時代の思い出を書いてもらってくださいというもの。
 
その時に、父である大島渚氏に頼んで書いてもらったのが『タケノコごはん』でした。

「タケノコごはん」
パパが小学校行っていたころ、日本の国は中国と戦争をしていました。
だから、絵本やゲームも戦争と関係のあるものばかりでした。
君たちは、早く大人になって兵隊になり、戦争に行かなければならないのだと、教えられました。
・・・・・・

冒頭このように始まる大島渚氏の文章は、戦争で父を亡くした友達の気持ちをかいたものであったそうです。当時はこの作文について深く考えることはしなかったそうですが、父である大島渚氏が逝去されたことをきっかけに、当時のことをふり返り、

「あのころの僕に、あとほんの少しの想像力があったなら・・・」
「作文で伝えたかったこと、友達の気持ちについて訊いていたら父は何と答えただろうか・・・」

そんなことを考えるようになったそうです。
 
当時の小学校のことや『タケノコごはん』の生まれた背景など知ることのできる貴重なお話を聞くことができました。

大島武氏が「父はどのような思いでこの作文を書いたのか」を想像することで、絵本『タケノコごはん』が生まれたのです。この絵本に綴られた文は大島渚氏の戦時中の体験によるものですが、その内容をどのように解読するかは、それぞれの人が持つ想像力によって違いが生まれます。

6年生は事前に『タケノコごはん』を読んでいますが、今回の話を聞いたあとにもう一度、今度はもっと想像力を働かせて読んでみると、また違った解読ができるかもしれません。
 

授業も終盤、最後に“五感”について学びました。

人間の感覚器官は5つ、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「味覚」「触覚」です。
なかでも「視覚」は、全情報量の8割程度をカバーしているそうです。
 
ここで面白いゲームが行われました。

「右手をあげて、その右手を頭の上にペタッと乗せます。
 乗せた手をくっつけたまま下の方に下げていきます。
 そしてあごの所で止めます。」

しかしこの時、大島氏の右手は頬のところで止まっていたのです。
 

これを見ながらやっていた6年生のほとんどが皆、頬のところに手を置いていました!

視覚からの情報がどれだけ影響のあるものなのかを目の当たりして、子どもたちも「やられたー」という表情。

感覚も人間の想像力に大きな影響を与えているのですね。
 


 
今回の特別授業を通じて、「想像力」「想像すること」の大切さを考えるきっかけになりました。
普段何気なく考えていることも「想像力」が働いています。

想像力を高めるためにどうすれば良いか、それは
「なにごとにも(最初から拒否しないで)いったん受け止める」
「その日にあったこと、気づいたことなどをメモする習慣をつける」
と語る大島氏。
 
普段の何気ない会話、授業で聴くこと、それは戦争体験を聴く時でさえも、今まで以上に想像力を働かせることで新しい解読に出会うことができるでしょう。そして、もっと豊かなコミュニケーションに役立てて、より深い学びを追求していってほしいと思います。