6年 『哲学』の授業②

2013年9月26日

 全3回に渡った「哲学対話」の授業。回を重ねるに連れて、子ども達が聞き上手・話し上手になっていく様子を目の当たりにすることが出来ました。
 
 第1回目の授業の時、河野先生から子ども達への最初の問いは「哲学に対してどんなイメージを持っているかな?」でした。テツガクという響きだけで、何だか難しそうで、複雑な世界に入っていくように感じた子がたくさんいました。でも、「対話」を繰り返していくうちに、最初は斜に構えていた子ども達も少しずつ殻を破っていき、自分の考えをじっくりと語ったり、友達の意見にきちんと耳を傾けたり、少しずつではあるけれど変化が見られました。対話を行っている教室には、普段の学校生活とは違った時間の流れや雰囲気が生まれていました。

 あしがら組は「自由とは何か?」という壮大なテーマで3回目の授業を進めました。
自由の捉え方は千差万別ですが、具体的な場面を想定していく中で
「あ~、そういう自由もあるよね」とか、
「いやいや、それは自由とは言えないでしょ」
といった対話が活発になっていきました。
友達の考えに同調したり、新たな発見があったり、さらに疑問が沸いたり・・・。子ども達の頭の中には「!」や「?」がたくさんうごめいているように見えました。決まった答えはどこにもないのだけれど、各々の思考や感情がたくさん揺さぶられることによって、ものの本質に迫っていけるのではないかと感じた瞬間でもありました。



 
 たんざわ組では「感情」をテーマに話し合いを進めました。「感情」は簡単に結論を出すことの出来ない『深い』テーマです。全体会での展開は「感情が無かったら」という方向で話し合いが進みました。子どもたちの発言から「感情はイイもの」と捉えているよう思えます。ひょっとすると「意欲」と同じように捉えていたのかもしれません。オトナの世界では「感情的になる」というのは、あまり肯定的には受け取ってもらえないので、その点おもしろいなと感じました。
授業後、子どもから感想を聞いたところ、
「コミュニケーションを久しぶりにとれた感じがする。感情とは何か?などと考えることはとまどうけれど、すごく面白かった」
「最初はつまらないと思ったけれど、みんなと本心を出し合って話し合うことが楽しかった。答えがないので気楽にやることもできた。」
普段のコミュニケーションとは一味違う話し合いは、子どもたちに何らかの刺激を与えたことでしょう。



 
あまぎ組は「はげるとなぜ笑われるのか」というテーマで進められました。このテーマを提案した子によると、元々「老い」に関する疑問からこのテーマが生まれたようです。話し合いを進めていくと、このテーマから様々な視点の意見が出てきました。
「髪が生えている=普通」
「普通の定義」
「常識」
「人との違い」
「空気を読む」
「同調すること」
など、自分たちでも驚くような展開で話し合いが進みました。途中で、「もし、髪がないことが当たり前の村があり、一人だけ髪があったら、その人はどうなるのだろう」というところから、話し合いは盛り上がっていきました。テーマに対する結論は出ませんでしたが、みんなで『考える』ということを真剣に行い、様々な人の考えを知ることができた有意義な時間となりました。



これから大人になっていく過程で、必ずと言っていいほどぶつかる様々な「問い」。その問いは誰かに聞けば答えを教えてくれるかもしれません。しかし、それを自分で考え、他者と話し合いながら「探求」していくことで、地に足の着いたしっかりとした考えを持つことのできる人間として成長していくのだと思います。
今回の授業を一つのきっかけにして、考える機会を増やしていって欲しいものです。