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月別 校長通信

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第969回 後期の学校生活~本日からスタート

2014年10月14日

台風19号の影響で、初日にあたる今日の行方が心配であり、昨晩も屋外の大雨と強風を聞きながら早朝を迎えました。通過が早まり、何とか無事に開始できてホッとしました。二期制をとる本校は、今日から後期が始まります。

 

1校時、全校生徒はアリーナに集合し、始業式を行いました。

校長の話に続いて、全校対象の食育アンケートの結果を受けて、保健体育科主任の清水先生から、パワーポイントを使用した興味深い解説がありました。生徒達が日常の食生活を振り返る上でも、良い機会になったことでしょう。

夏の海外セミナー参加者を代表して、高1中西晃子さんと高2吉野結葉さんが、オーストラリアセミナーで学んだ体験と感動を、流暢な英語でスピーチしてくれました。

続いて、後期奨学生(中高)と前期努力賞(中のみ)の表彰を行いました。

更に中学の理科で、夏休みの自由研究・理科工作等の課題で最優秀の賞をとった諸君を表彰しました。この夏の素晴らしい作品は、現在テクノエリア3階に展示されています。

2校時は各クラスでホームルームを行いました。学年集会や写真撮影を行う学年もありました。

生徒諸君はその後下校となり、午後には先生方の「拡大学年会」が行わました。中1から高3まで各学年ごとに各学年会と授業で関わる先生方が集まり、前期までの到達や現状について、後期の重点指導や留意事項について話し合い、意思統一をはかる重要な会議となります。

 

後期は、前期に比べて学校生活に起伏が少なく、新しいリズムを築き直しやすい日々になります。じっくりと勉学や読書に取り組んで欲しいものです。

校長通信も今日から再開します。これからも引き続きご拝読をお願い申し上げます。始業式における校長からの話をこれまで同様に紹介させて頂きます。

 

全校生徒の皆さん、おはようございます。
台風19号の通過が早まり、何とか予定通りに後期を開始することができました。
後期は、秋から冬を通って春へ向かう半年間です。前期の反省をふまえて、学校生活のリズムを築き直し、それぞれが実力を蓄えていくべき大切な半年間です。

 

今日は、秋休みにかけて、世界の注目を集めたニュースから取り上げます。
今年度のノーベル物理学賞の発表は、日本にとって嬉しいビッグニュースでした。
青色の発色ダイオード=LEDの爆発的な普及に寄与し、生活や産業の進歩に多大な貢献をなしとげたとして、赤崎勇、天野浩、中村修二という3人の先生方が揃って受賞されたのです。
そして、これからお話しする、ノーベル平和賞の発表がありました。
今回は、パキスタン出身の17歳の女性マララ・ユスフザイさんと、インドの60歳の男性カイラシュ・サティヤルティさんに贈られました。
ともに南アジア出身のこのお二人には、共通する大きな志があります。

 

まだ高校生のマララさんは、パキスタン北西部のスワート県に生まれました。
約6年前に故郷は「パキスタン・タリバン」というイスラムの過激派組織に支配され、恐怖政治が始まりました。女の子には学問はいらない、学校に行かないで家の仕事をせよ、と女子学校が爆破されたり、外で働く女性が相次いで襲撃されたりしました。
マララさんはあるきっかけから、タリバンの脅迫におびえながら登校する日々を、英国BBCの現地ブログにペンネームでつづり始めました。報復テロを恐れて大人も口を閉ざす環境のもとで、11歳の少女の勇気はパキスタン国内で反響を呼びました。民放のテレビ番組や外国メディアにも登場し、学校の再開や女性への教育の必要性を訴えました。
政府軍がタリバンを追放すると本名を公開して活動を続けましたが、命を狙われ、ついに今から2年前に帰宅途中のバスの中で銃撃されました。頭と首に銃弾を受けてひん死の状態になりましたが、緊急手術が成功し、更なる治療と身の安全確保のためイギリスの病院に移送されます。
退院後も家族とともにバーミンガムの仮住まいでリハビリと通院を続け、昨年2月に再手術を受けます。3月から新しい学校に通い始め、4月には女性や子供の教育機会を保障しようと「マララ基金」を創設し、以後現在までシリアやガザなど最も過酷な地域に暮らす難民と子どもの教育援助に充てる活動を続けてきました。
昨年7月には誕生日に国連本部に招かれて演説し、言論の力で暴力や銃弾に立ち向かう決意を語りました。今年の7月には、17歳の誕生日をアフリカのナイジェリアで迎えました。この国でも女子教育が敵視され、200人以上の女生徒達がイスラム武装勢力に誘拐され、まだ解放されていません、彼女は同じイスラム教徒として、平和の宗教であるべきイスラムの教えを歪める武装勢力に警告します。誘拐されている生徒たちの家族を励まし、彼女たちは私の姉妹でありその釈放まで発言し続けると決意を語りました。

 

もうひとりのカイラシュさんについては報道が少ないのですが、どんな人か知っていますか。カイラシュさんはインドで生まれ、大学院まで進んだエンジニアです。26歳で電気技師としてのキャリアを離れ、児童労働の撤廃という社会活動を始めました。原点は小学校に通い始めた6歳の時、教室から外を見るといつも靴磨きで働く子がいて、学校に行けない同世代がいると気づいたことでした。奴隷のように働かせる労働現場や人身売買の暗闇から、これまで8万人近くの子ども達の救出に成功しました。その後の教育機会も重視して、一日たった10数円の収入で搾取されていた子供の中には、いまでは専門家を目指して大学へ通う若者達も少なくないそうです。
推計では現在のインドだけで数千万人、世界では1億7千万人の子どもが、ひどい環境で強制的に働かされ、学校へも行けない状態にあるそうです。児童労働に反対して行動する世界のNGOの人びとに呼びかけ、約700万人を結集する大行進を各地で実行したり、国際条約の締結をリードしたりしてきました。日本にも訪れ、児童労働をめぐる複雑な情勢について講演を行いました。

 

先週金曜日にノーベル平和賞が発表された時、マララさんは学校で化学の授業を受けていました。途中で受賞の知らせが届いてもその授業は終わりまで受けたそうです。すぐに共同受賞したカイラシュさんに電話をかけて喜びを分かち合いました。午後の記者会見では、緊迫関係の続くインドとパキスタン両国の関係改善にもつなげたいと、お互いの国の首相~モディ首相とシャリフ首相を二人の授賞式に招こうと合意したことも明らかにされました。
パキスタンとインドは隣り合う南アジアの大きな国ですが、現在も国境付近で砲撃や衝突が続き、この一週間だけで20名以上の住民が犠牲になり、数万人の住民が避難しているそうです。カシミール地方をめぐる領土問題などが解決せず、両国は核兵器も所有して対立を続けています。
マララさんは会見で、両国が戦いをやめて教育や開発について語り合い、協力して取り組むように訴えました。受賞した二人は、実はイスラム教徒とヒンドゥー教徒という違いがありますが、子どもの教育と幸福を求める強い志を共有しています。
印パ両国は、子どもの人権侵害という本当の「敵」に向き合って協力していくべきではないか。核兵器を持つほどの大国が、なぜ自分の国の宝である子供達の教育にもっと十分な力をかけられないのか、という問いかけも今度の共同受賞には込められているようです。

 

今回のノーベル平和賞は、世界各地から推薦された278の個人や団体の候補の中
から選定されたそうです。その中には、日本国憲法の平和主義を定めた第9条も挙げられ、検討対象にされていました。

いま世界では、グローバル時代の激しい競争の中で、民族や国家の対立が再燃したり、暴力によって支配地域を広げる動きが続発しています。マララさんの故郷でも武装勢力の脅威が続き、当面一家は帰国することはできません。マララさんは毎晩のようにパキスタンのことやスワートの景色を夢に見るそうですが、故郷では学校を狙った事件が後を絶たないのです。
イラクやシリアで勢力を増す、過激派組織「イスラム国」の動向も恐怖感を世界に広げています。中東の各地に介入したアメリカ軍などによって、誤爆や巻き添えで犠牲になる住民や子どもまで数多くいます。
そして、経済や軍事で圧倒的な力を持つ先進国や、貧困や失業の問題を解決できない途上国に対して絶望や憎しみを深め、暴力やテロで国際社会を動かそうと考える若者達が増えていることが心配されます。

 

お二人の受賞は、世界にとって次の世代の幸福と成長がいかに大事であるかを示しています。国籍も宗教も性別も関わりなく、世界の子どもは誰でも守られ、健やかに育つ権利を持っています。貧しい国の子供達が教育を受け、自分の意志で生き方を選べるようになることは、過激な思想の浸透を抑え、テロや紛争の防止にもつながることです。
「子どもの権利条約」が国連で採択されてから25年経ちました。しかし先進国も途上国も経済成長や競争の勝利にばかり関心を集めて、子どもの問題が置き去りにされやすい傾向があるといえるでしょう。
先進国の子どもや若者にも、生活苦や孤独や疎外感が広がっています。この日本でも生活費や食費が不足して退学したり、進学をあきらめる世帯が増えました。家族や友人や職場に恵まれず、精神を病んでしまう生徒や若者が少なくありません。

マララさんは、「私はこの賞に値するとは思っていなかったし今でもそうです」と語り、「ただ私は黙ったまま殺されたくはないし、脅迫されても私には大きな夢があります。全ての子どもが教育を受けられる姿を見ることです。私には第2の人生をかけて皆を助けるという使命があります」と力強く語っていました。
教育を受ける権利の重要性を、ここまでしっかり述べることのできる人はこの日本にどのくらいいることでしょう。

 

私たち日本人は、基本的な人権が一応は保証された社会で暮らしています。しかしその権利は昔から当たり前のようにあったものではなく、いま手にしている自由や権利は、憲法を中心にした社会のルールやシステムのもとでかろうじて守られてきたものです。その自由や権利をどう生かしてどう行動していくべきかも改めて問われています。
これからの日本と国際社会は、いずれ皆さんの世代の選択と行動にかかってきます。我々の世代は皆さんにいずれバトンタッチして、先にこの世を去ることになります。皆さんには、「持続可能な」地球社会や地域社会の担い手としてどこかで活躍し、世の中に貢献していくことを期待しています。そのために、この学園でいろいろなことを学び、挑戦を重ねて、力を蓄えていってもらいたいです。

 

では皆さん、健康と安全に気をつけ、元気で後期の毎日を過ごしていきましょう。世の中の動きにも目を配りながら、それぞれの学年で一日一日を大切に、自分のこれからにつながる努力を重ねていきましょう。
・・・・・・以上で私の話を終わります。どうもありがとうございました。