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月別 校長通信

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第1046回 中学入試明けの全校朝礼

2015年2月9日

本日の1校時は、大学受験に臨む高3以外の5つの学年がアリーナに全員揃って、久しぶりの朝礼を行いました。

校長の話に続いて、昨日来日した中国雲南市の女子大学生お二人が、自己紹介を流暢な日本語で行ってくれ、大きな拍手を受けました。今週校内で授業を中心に貴重な交流を行います。
続いて卓球部、テニス部、理科研究部、書道部の部員諸君と、合気道の全国大会優勝者を対象に、該当生徒の皆さんを表彰しました。
では校長からのお話の内容を紹介しておきます。

 

皆さんおはようございます。高3の先輩達は大学受験の真っ最中であり、本日はこの朝礼にはいません。高2から中1までの皆さんにお会いすると、先月の合唱コンクールのことを思い出します。何度も感動で涙が出た一日でした。高校も中学もつらい審査で胃が痛くなりました。そして学園の生徒会行事の素晴らしさについて誇りを新たにしました。時間が経ちましたが改めてお礼をお伝えします。

次に先週の2月の1日から6日まで続いた中学入試についてひとこと述べます。今回も大変な激戦で、競争率ではA日程が2.4倍、B日程は3.2倍、C日程は3.5倍、そして最後のD日程が4.3倍でした。
湘南学園の中学入試は、ここ数年志願者がとても増えて、難易度を示す偏差値も上がりました。今年はある程度減少することを覚悟していましたが、実際に受験した人数では、前回の入試の約9割になりました。どうしても学園へ入学したいと最後まで挑戦した受験生が今回も大勢いたことを伝えたいです。

入試期間中は今回も、補助生徒として中1・中2の皆さん、そして高3の先輩達がお手伝いをしてくれました。朝と帰りの挨拶や監督・巡回、仕分けや掲示などの仕事で、元気と笑顔いっぱいに取り組んでくれました。またカフェテリアに集まった保護者や受験生に的確に指示し、質問に応えてくれました。
皆さんの働く姿は本当に大好評でした。あんなに優しくて素適な先輩が待っているからと、学園へのあこがれを強めてくださったのです。
在校生の皆さんには、今年度もオープンキャンパスや学校説明会、校外イベントなどで、部活体験や個別相談、国際や生徒会などのブースで「もてなしと語らい」に努めてくれました。学園への入学希望者がこんなに多いのは皆さんの協力のおかげでもあります。本当にありがとうございました。

 

さて今週は、校内でささやかな国際交流を行いますので、ここでご紹介いたします。藤沢市の姉妹都市である中国の昆明市から、今回も日本語を専攻する大学生をお招きしました。今年で3回目になります。2年前には「日中国交回復40周年」を記念して計9名の学生さんと先生をお迎えしました。湘南学園の同窓会、藤沢市、多数の会社のご支援も頂いて、授業体験や、江ノ島鎌倉の散策、餃子作り、青年シンポジウムなどで交流しました。昨年はお二人、今年もお二人の女子学生を雲南市の有名な大学からお招きすることができました。リウさんとバイさんです。後ほど自己紹介してもらうので、皆さん盛大な拍手をお願いします。

日本と中国の間には、領土や大戦をめぐる難しい問題があります。けれども日中両国の間にはまず長い交流の歴史があります。我々が使っている漢字を筆頭に日本人の生活には中国にルーツを持つ文化がたくさんあります。たとえば弥生時代・唐・宋・明の時代に多数の日本人が渡って先進的な文化を学び、現在では大勢の中国人が仕事や留学や観光で来日しています。日本の貿易を考えると中国はアメリカと共に最大の相手国です。大学生が学ぶ第2外国語で一番増えたのは中国語であり、ビジネスの世界でも本当にたくさんの大企業や中小企業が中国へ進出しています。

中国では日本のことが大好きで、日本語を学ぶ学生達も多いのです。同じ時代に近隣アジアで生きる者どうしです。日本の若者と同じようにネットや携帯を使い、就活や恋愛に悩み、自分と母国の将来を真剣に考えています。話してみれば判り合えることもたくさんあるはずです。

今回お二人も、在校生のお宅のお世話でホームステイしてもらいながら、今週の金曜日までたくさんの授業を聴講し、交流してもらいます。お二人とも結構日本語ができるはずですから、気軽に話しかけてみて下さい。

 

さてこの機会をお借りして、本日皆さんにぜひ伝えたい重要なテーマがあります。「イスラム国」による日本人人質事件についてです。

湯川遥菜さんに続いて、フリージャーナリストの後藤健二さんが「イスラム国」によって長期間拘束された末に殺害されました。インターネットを通じて声明と映像が届けられ、全世界に注目されて緊張した日々が続いた後、人びとの願いもむなしく大切な命が奪われました。
その後も拘束されたヨルダン軍パイロットをめぐる駆け引きと激しい復讐の様子に恐怖が増幅されました。あまりに卑劣な行為、人命を何とも思わない残忍な手口に対しては、きっと皆さんも怒りがこみあげたはずです。

注目して欲しいのは、後藤健二さんからのメッセージです。後藤さんはシリア・イラク・ソマリアなど最も危険な紛争地帯に入って取材していたジャーナリストです。「戦争の裏側で起きている事実を伝えたい。戦場に生きる子どもや民衆の姿をきちんと伝えたい」という使命感を持って活動していました。
突然起きた紛争に、弱い立場の民衆が巻き込まれて、どんなにつらい思いをして暮らしているのかを一生懸命に発信された人です。後藤さんをよく知る人が内外で語る姿は共通していました。本当に気さくで優しい人で、日本の各地でも中東の現地でもどんどん周りの人に話しかけ、笑顔の絶えない方でした。そして最後は湯川さんを救出したいと危険地域へ入って拘束されたのです。

ご家庭には奥様と2人のお子様が残されました。“夫は特に子どもの目線で戦争の悲惨さを私達に伝えることに情熱を注ぎました。人びとの苦境を報じてきた夫をとても誇りに思います”と奥様は述べられていました。
「1人のテロリストを殺してもまた5人のテロリストが生まれる」と言われています。また「怒りと敵視だけを強めればイスラム国の思うつぼだ」とも指摘されています。でもこうした言葉を理解するのは難しいと思う人もいることでしょう。

後藤さんは憎しみを超えて、異なる立場の人と人とが分かり合えることを信じて行動していました。イスラム教徒の全体をステレオタイプで決めつけることを戒めていました。

イスラム教徒は世界で約16億人いるそうです。日本にも大勢のムスリムが働き、暮らしています。ちなみに世界で一番ムスリムが多い国は中東諸国ではなくて東南アジアのインドネシアです。武装集団の「イスラム国」と一般のムスリムの人びとをごっちゃにして同一視してはいけないのです。

そして次に重要なことは、なぜこんなにも残虐な武装集団が登場したのか、狂おしい暴力の背後にはどんな国際社会の情勢や人びとの心情があるのかに目を向けていくことではないでしょうか。
中東の諸地域は、エジプトやメソポタミアなど古代からの最も長い歴史があり、石油の資源に恵まれる一方、欧米の大国との難しい関係が続いてきました。近年も戦争や紛争が続いてきました。怒りや憎悪が渦巻き、多数の民衆が生命を奪われました。直前のイラクでも数百人の民衆が内戦に巻き込まれて虐殺されていたそうです。

イスラム国は石油や誘拐で資金を稼ぎながら、ネットをフル活用して、難民キャンプや先進国で悶々とする若者を誘って戦力を拡大しました。こうした過激派組織がいま世界の治安や海外への渡航を脅かしています。この根っこにある背景について理解を深め、その解決へ向けた努力を広げていくことが大切になっています。

 

本校が加盟する「ユネスコスクール」は、こうした世界の現実に向き合って模索しています。共通するのは、国連やユネスコが提唱する“持続可能な社会、平和な未来のための教育”です。民族や宗教の違いを越えて、世界の若者が同じ人間としての相互理解を進め、親睦や友情を育んでいくことがいっそう重要になっています。「イスラム国」の登場は、世界の人びとが仲良く共存して協力していこうとの志がどこまで本物なのかを試される、“試金石”にあたるのではないのかと考えさせられます。

皆さんには、いま世界の紛争地帯や危険地帯に暮らす人びとの様子と、支援に関わる人びとの様子にもっと目を向けていってもらいたいです。またあのような残虐行為を続ける武装集団の登場がなぜ各地で後を絶たないのか、日本や我々には一体何が出来るのかについても、いろいろな情報に接して私達も考えていきたいものです。そうした機会がもっとあればと願うものです。

本校はユネスコスクールとして、グローバル時代の国際交流や学習の機会を大事にして、これからも皆さんが参加できるイベントや拠点づくりを可能な範囲で追求していきます。そんな機会には、ぜひ友達とも誘い合って参加してみてください。

今日は以上で私の話を終わります。ご静聴ありがとうございました。