縦割り社会科

2021年5月21日

 3年生から5年生の社会科の授業を順繰り見ました。
 3年生は「地図記号」の学習です。担任の冨田先生の「この地図記号は何でしょう?」から始まり、「なぜこのような印にしたのでしょう?」といった質問が続きます。病院の地図記号が出たときに、「十字架でお祈りするからだよ。」の子どもの意見に対し、「そうだね、怪我や病気になって早く治るといいねという願いがあるのかもね。」と先生が返していました。郵便局の地図記号のときは校外学習での経験を子どもたちへ投げかけ活かしていました。子どもの生活に近いところから日々の学びを振り返り、一人ひとりと小さなキャッチボールを繰り返しながら、クラス全体に広げていく授業でした。

 4年生は「神奈川県の農産物」の学習です。授業のアプローチは昨年度の校外学習で学んだスーパーの野菜売り場のことからです。子どもたちは旬なものが入口の近くに並んでいることや、生産者の顔や名前を出して売られていることをしっかり覚えていました。この授業のキーワードとなる「地産地消」という言葉が出るまでに時間はかかりませんでした。担任の中許先生は、農家の方から聞いた「身土不二」という言葉を子どもたちに伝えました。意味は、「人間の身体と土地は切り離せない関係にあるということ。その土地でその季節にとれたものを食べるのが健康に良いという考え方。」です。授業の後半は、「湘南ゴールド」など地産のものを調べました。

 5年生は「日本の国土」の学習です。暖かい地方のことを学んでいるクラスと、山地や平地といった特色を学んでいるクラスがありました。自分たちが暮らしている神奈川県と比較すると、より気づきが多くなることでしょう。一日で3年生から5年生の社会科の授業を見ました。担任時代には味わうことができない “縦割り社会科授業” の面白味を感じることができました。
 5月19日の神奈川新聞で、伊能忠敬と測量隊が作製した手書きの「大日本沿海輿地全図」のうち、列島を3枚に納めた「小図」の副本が発見されたことが記事になっていました。伊能忠敬が今の僕と同じ55歳から実測で測量を始めたことに驚かされます。その好奇心と探究心は、社会科を学ぶ上でとても大切なことです。