「目指すべき場所」

2021年6月1日

「選ばれた場所」
そこへゆこうとして
ことばはつまずき
ことばをおいこそうとして
たましいはあえぎ
けれどそのたましいのさきに
かすかなともしびのようなものがみえる
そこへゆこうとして
ゆめはばくはつし
ゆめをつらぬこうとして
くらやみはかがやき
けれどそのくらやみのさきに
まだおおきなあなのようなものがみえる


 谷川俊太郎さんの詩です。
 『クレーの絵本』という小さな画集に添えられたものです。
 試練はどこまでも続き、乗り越え、微かな灯火が見えても、暗闇の先にまだ “おおきなあな” があるなんて・・・
 まるで、今の世の中を象徴しているような詩です。
 4年「山の学校」に続き、6年「修学旅行」、3年「海の学校」が延期になってしまいました。
 担任の先生が子どもたちに伝えたときは、「不満」というより「仕方なし」という様子だったと聞きました。それでも、子どもたちは元気に学校へ来てくれます。
 詩のタイトル「選ばれた場所」とは、どのような意味なのか?画家のパウル・クレーは、戦禍をくぐり抜けた後の1927年に、谷川俊太郎さんが詩を添えた「選ばれた場所」を描いています。
 いつの時代も試練を乗り越えた先にある「選ばれた場所」は、きっと今の時代においても「目指すべき場所」なのでしょう。
 どのような状況でも学校に来てくれる子どもたちのために、我々教職員は子どもを「目指すべき場所」へ導かなければなりません。