制作展-作品の向こう側-

2022年2月10日

 制作展が始まりました。今日は子どもたちの鑑賞日です。たくさんの子に見られ何だか作品たちも嬉しそうです。



 
 「何もないところから、何かを作り出す。何もないところから、何かを描き出す。」
 芸術作品とは、見えないものを見えるようにすることだと思います。見えないものに怯える今だからこそ芸術が必要なのです。
 子どもの感性の驚くべきは、その何もないところから、何かを生み出す力に優れているところです。子どもの作品は、他人の眼鏡をかけて作っているものは一つもない無垢なものばかりです。子どもが手を動かした瞬間から奥のほうで何かのふたが開き始め、最初に考えもしなかったことが制作の途中で見え、最後には自身も予期しない作品が生まれたりするのです。そこに創作する喜びやおもしろさを発見できると、創作意欲はより増すことでしょう。
 鑑賞するときは、見えるようになった作品を直視するだけでなく、作品の向こう側を観ることが大切です。作品の向こう側を観るとは、子どもが作品を通して何を伝えたいのかを感じ取ることです。それを感じられたときに、子どもの心にも触れることになるのです。一つひとつの作品から発せられた子どもたちからの問いを楽しみながら鑑賞してください。見つかった答えとともに作品について会話すると、芸術に対する新しい扉がお互いに開くかも知れません。
 手数の多い作品は、それだけ作品に向き合う時間が長く、思いが込められ表現に奥行きが出ます。それは、一人ひとりの時間軸が作品の中にあるからです。そういった作品は生命を宿したものになり、観た人に感動を与え、やがて一つの絵画や造形が多くの人の作品となるのです。
 美しいものを見て、美しいと言える「彩り豊かな心」を育みたいと思います。