たいいくだより ~「命を守る」(プール番外編)~

2022年7月22日

湘南学園では、体育でも「安全教育」を実施しています。

水泳指導期間では、水泳授業の一環として3年生以上で行われます。

指導の中心は、この期間、全ての授業における水面監視としてお世話になっているライフセーバーの小川さんです。

加えて、市内プールの運営に携わっている指導員2名、本校の体育科教員3名の6名体制が指導にあたります。

小川さんは、本校の卒業生です。湘南の海を長くにわたって守り、数多くの海で開催される大会にもスタッフとして参加されています。

学年やクラスの雰囲気、泳力など子どもたちのことを本当によく見てくださいます。

ちょっとしたことでも、ときには厳しく、また温かく接してくださる学園にとって大切な方です。

 

3年生は、導入ということでの活動がメインです。

まずは、バディーを組むことからはじめました。

そして、落水の仕方、背浮き、背浮きから起き上がることなど、実演を見ながら説明をよく聞きます。

「いざ、実践!」となると、普段は「飛び込んではいけない!」と言われているからか、以外にも思い切って動けない子が多くいました。

活動中は、自分のバディーの安全を確認しながら「大丈夫?」「できてるよ!」と声を掛け合う様子もありました。

最後は、ペットボトルを使って浮くことにも挑戦!

どう使うと、より浮きやすいか、呼吸が楽になるかを考え、試行錯誤しながら取り組んでいました。

また、ビーチボールを例に挙げ…

①空気がぱんぱんに入っているもの ②空気が半分くらい入っているもの ③空気が半分くらいと水が入っているもの

「溺れている人に投げてつかまってもらうためには、どれが一番良いか?」という質問をしました。

( ………… みなさんは何番だと思いますか? その理由は何でしょう? )

 

4・5年生は、着衣ありでの実践です。

最初にバディーを確認!

そして、3年生と同様に落水から行います。

さらに、服が水に濡れたときの感覚、服を着たままで水の中を動く感覚などを確かめながら、

「着衣のまま落水したら…?」と対処法を確認します。

子どもたちの第一声は「動きにくーーー!!」です。

 

4年生には、クロールと平泳ぎを泳いでもらいました。

小川さんの「どちらが泳ぎにくい?」との質問に、多くの子は「平泳ぎ!」と答えます。

すると、すかさず「どうしてだと思う?」と聞き返します。

「なんとなく…」という子もいますが、しっかりと考えを伝えてくれる子もいます。

そこに、小川さんは補足を加えながら丁寧に説明をしてくれます。

真剣に聞き入る子どもたちの姿がそこにありました。

再度、入水しての実践では、聞いた説明をそれぞれが自分なりに解釈し工夫をして泳いでいました。

 

 

5年生には、エレメンタリーバックストロークや立ち泳ぎ、簡単な救助法にも挑戦してもらいました。

身の回りにあるもの(プールサイドにたくさんのものを予め用意)で、バディーを助けます。

どれなら浮くのか、どうしたらよいかを考えながらの実践です。

周りもよく観察し、良いと感じた方法は積極的に取り入れながら活動していました。

さらに、着衣を水中で脱ぐこと、陸上で脱ぐことの両方もあえて体験します。

脱ぎ着のしやすさや扱いやすさの体感に合わせて、水中における衣服の重要性も伝えています。

 

6年生は、実際の現場で使われている本物の救助道具を使ったレスキュー活動を行いました。

どの道具の使い方、注意点、救助方法など、全ての説明は一度きりです。

たった一度の説明を受けた後は、直ぐに実践となります。

万が一のときに慌てて聞き漏らしたことがあると、自分や相手の命にも関わります。

静まりかえったプールに、小川さんの声だけが響きます…

正しく使えなければ、救助道具もその効力が発揮できず、相手を助けることもできません。

自分が命を落とす危険もあります。

活動に移ってからも、小川さんや指導員さんの話しを聞きつつ、積極的にチャレンジしていました。

 

「全てのことにはしっかりと意味(理由)がある。それを理解し活動すること。」

「どんなに慌てる状況であっても、レスキュー隊のことを信じて、話しをよく聞き行動すること。」

そして、『自分の命を守るのは自分である。』

短い時間ではありましたが、活動を通して大切なことをたくさん教えてくださいました。

水辺に親しむ活動が増えるこの時期、そして泳力に自信も持つ頃だからこそ、今一度「命を守る」ということを考えて行動できるようになって欲しいと願っています。