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月別 校長通信

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第1183回 地方国立大学と「地域系学部」の新設について

2015年10月16日

地方の国立大学に「地域」を冠した学部が次々と誕生している、という興味深い新聞記事に接しました(2015.10.4朝日)。今日はこのテーマを起点に述べてみたいと思います。

四国地方のK大では「地域協同学部」が新設されました。学部のモットーは現場重視で、専門科目の4割以上、約600時間が地域実習に充てられるそうです。キャンプ場の草刈りやお祭りの手伝いなど幅広く関わり、住民と協力して地域の課題に立ち向かうのです。学生のユニークな発想や視点も大いに期待されているようです。

九州地方のS大では「芸術地域デザイン学部」が新設されました。有田焼など陶磁器産業を中心に、地域の文化と歴史を生かした産業の発展に寄与するのがねらいで、マネジメントや販路開拓を担える人材を育てるそうです。

 

こうした学部は、改革派知事の登場で「地域の時代」が脚光を浴びたかつての時代に設置が始まり、地域社会を取り巻く環境がより厳しくなった最近に急増しました。少子高齢化や地場産業の衰退などが深刻化しているのです。「限界集落」といった言葉が頻用され、克服すべき課題が多岐にわたる中、特に地方の国立大学が地域貢献をミッションにしてきているのです。

中国地方のT大の「地域学部」では、学生が過疎集落で高齢者から伝統的な農作業や暮らしぶりを聞き取って冊子にまとめたり、中心市街地の廃業した病院の建物を現代アートの展覧会を開く文化拠点に再生しました。研究者は砂丘の農地化の研究を通して、食糧不足に悩むアフリカの乾燥地農業に力を発揮するなど、地域にこだわることが世界への貢献にもつながる例があげられていました。

今回のノーベル賞を受賞した大村教授と梶田教授は、学部時代はそれぞれ山梨大学と埼玉大学のご出身であり、昨年受賞の中村教授の学部時代は徳島大学にいらしたことも注目されました。伸びやかな環境・学風と少人数制の充実した教育の中で偉大な研究成果の基礎が築かれたのだと指摘されたのです。現在は、国からの運営費交付金が国立大学法人化後に全体として厳しく削減されてきた経緯にも関心が集まっています。

 

本校でも人数こそ少ないですが、あこがれの第一志望校を地方国立大学において前期~後期と最後まで頑張り続ける在校生諸君がいます。「グローバルに考えて地方で貢献する」姿勢や生き方に大きな期待が集まる現代です。出身大学はどこであれ、日本の人口減少を受けた地域再生に真っ向から取り組む卒業生がこれから輩出されることを期待しています。