オーストラリアセミナー 5日目

2014年7月27日

 かつて、日本に来たことがあるニュージーランド人からこんな話を聞いたことがあります。

「日本にいた時、初めて会う日本人は、常に僕に対して、『アメリカ人ですか?』と聞いてきました。その度に僕は『いいえ、違います。僕はニュージーランド人です!』と答え続けてきました。日本人は、西洋人を見るとすぐに『この人はアメリカ人だ』と思うようですが、それは大きな間違いです!」

 今日の1時間目のピーター先生のESLの授業では、まさにこのような考え方を払拭してくれるような『オーストラリア人の血の中に流れる彼ら独特のオーストラリアの心』について、ある有名な歌を通じて教えていただきました。その歌の題名は、そうです、もちろん“Waltzing Matilda”です。この歌に出てくるswagman は、オーストラリアの開拓初期における貧乏なホームレスピープル。その彼が、ある池のそばに野宿していました。彼はあまりの空腹のために、牧場の羊を盗んだところ、それを農場主に見つかってしまいました。恐怖のあまり、彼は、逃げて池に飛び込み、命を落としてしまったという悲しい結末の歌詞です。法律的には、農場主が正しく、羊を盗んだ swagman がもちろん悪いわけですが、道徳的に、オーストラリア人は、この swagman の方を全面的に支持しています。オーストラリア人の心には、このような開拓時代の貧困な時代を過ごした人々の血が流れており、彼らは、この歌をオーストラリア国歌以上に大切にしています。何か大きなイベントがある度に、彼らはこの歌を歌い、心の中に熱い涙を流すのだそうです。

 ピーター先生は、これに加えて、次のようなことも教えてくれました。オーストラリアの憲法では、18歳以上の人は、選挙で投票しなければならない。もし投票しなければ、それは法律違反になると規定されているそうです。これは、オーストラリアの下層階級の人々の声もしっかりと政治に反映させて、社会をこうした貧しい人々のための政策を実現出来るようなものにしなければならないという根本的な考え方から来ているのだそうです。オーストラリアでは、確かに個人を大切にします。ただ、アメリカとの違いは、個人に重きを置くだけではなく、これら個人の集まりとしてのグループをも重視しています。このグループを重視するという点においては、日本とオーストラリアは共通しているのではなかともおっしゃっていました。いろいろな意味で、とても興味が持てる授業でした。

 
 2校時は、中国からの留学生と一緒にタン先生のESLの授業を受けました。3校時は、小学校に戻って、Year 3 のスー先生のクラスで交流授業を行いました。僕は、ホテルのネットが昨夜とてもつながりにくかったため、これらの時間を使って、ブログを書いていたため、詳細について紹介出来ないのですが、スー先生の授業の最後に、一緒にペアワークした小学生のバディーの児童に、学園生ひとりひとりから扇子をプレゼントさせてもらいました。子ども達は、すごく喜んでくれたので、学園生は、それぞれのバディーと扇子を開いて記念写真をとっていました。

 今日の昼食は、ノックス校が用意してくれたサンドウィッチを、ノックス校のインターナショナルコースの生徒達と一緒に戴きました。インターナショナルコースの生徒は、圧倒的に中国からの留学生が多いのですが、中には、韓国やシンガポール、マレーシアやパプアニューギニア、インドネシアやベトナムなどからもここノックス校に留学しています。現在では、14カ国からの留学生を受け入れています。そして、今年は、日本からの留学生もいます。昨年度、総務委員長だった種子島隼君です。彼は、5月の頭にこちらに来て2ヶ月半を過ごしていますが、わずかの期間で、ずいぶんと英語が上達していました。また、一回り考え方も大人っぽくなっていて、たくましく成長しています。彼のお姉さんの七海さんも、2010年度に1年間ノックスに留学され、帰国後は、医学部に進学されました。ノックスでの留学は、本当に大きくなれるかけがえのない経験となるようです。学園から、是非毎年、1年間のノックス留学生が生まれることをとても期待しています。

 午後は、予定を変更して、4校時に Year 2 のティナ先生のクラスで交流授業を行いました。ノックス小学校は、とても読書の時間を大切にしています。よく小学生を授業中に図書館へ連れて行って、司書の先生が子ども達に読み聞かせの授業を行っています。ティナ先生のクラスでも、昼食後の最初の授業では、初めの15分を使って、それぞれの児童が読みたい本を音読するそうです。そういうわけで、学園生もこのクラスのバディーの生徒と一緒に英語の本を読みましたが、どのくらい理解出来たのでしょうか?

 読書の後は、同じ誕生月の者同士、同じ科目が好きな者同士、同じ食べ物が好きな者同士、同じスポーツが好きな者同士などで集まる集合ゲームのようなものを行いました。そして、そのトピック毎に、ティナ先生がいろいろなことをしゃべってくれました。例えば、同じスポーツが好きな者同士が集まった時には、ちょうど昨日開会式を迎えたスコットランドのグラスゴーで開かれている Common Wealth「イギリス連邦」のスポーツの大会について話してくれました。この大会は、leap year「閏年」に4年毎に開かれるそうで、オリンピックにはないイギリス連邦で行われている人気スポーツのネットボールやクリケットなども競技種目に含まれているんだそうですよ。

 5時間目は、体育館に移動して、インドアホッケーを楽しみました。これは、男子も女子も一緒になって楽しめる競技で、みんなギヤーギャー言いながら夢中になってやっていました。汗をびっしょりとかいて走り回った生徒達は、さぞかしすっきりとした気分になれたことと思います。明日は、バディーと一緒にまる1日、メルボルン市内遠足に向かいます。真冬の街を歩きますので、暖かい格好をして来て下さいね!