平成24年度 入学式

2012年4月9日
4月9日(月)、好天に恵まれた中、中学校入学式が執り行われました。
中高校長・山田明彦先生による心のこもった挨拶です。

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。
保護者の皆様、お子様のご入学、誠におめでとうございます。
私は、本校の校長を務める山田です。よろしくお願い申し上げます。ようやく春本番となり、日に日に桜の花があちらこちらで満開を迎えています。晴天に恵まれたこの良き日に入学式を迎えられて、本当に嬉しく思います。
本日この入学式には、学校法人を代表して、理事長の高尾信様、PTAを代表して、PTA副会長の原田ゆう子様と鈴木由佳様、そして全学を代表して学園長の仲本正夫先生。以上の方々のご列席を頂いております。湘南学園全体を代表して一同心からお祝い申し上げます。

新入生の皆さん、新しい中学の制服に身をつつんだ感じはいかがですか。今日からいよいよ、中学校生活がスタートします。ここには男子108名、女子101名、合わせて209名の人たちがいます。新入生の皆さんは、例年よりも多い人数となりました。とても嬉しいことですが、各クラスの人数が多めになったことを、ここでお詫び申し上げます。学年の教室配置や、縦割り編成の学校行事など今後の教育実施を考慮し、これまでの中学1年の実績をふまえて、また学年スタッフの増員を行って、5クラスで学年を編成させて頂きました。生徒の皆さん並びに保護者の皆様の、ご理解とご協力をお願いいたします。
さて、皆さんのお住まいは、神奈川県の様々な地域や東京都まで広くまたがっています。中にはたとえば、小田原・南足柄・湯河原・箱根方面や、厚木・伊勢原・秦野方面、町田・世田谷方面、川崎方面、横須賀・三浦方面から、電車やバスを乗り継いで、新たな通学を始める人たちもいます。本当に様々な地域から、湘南学園のこの新しい学年に集まってくれています。皆さん、この貴重な出会いを大切にしましょう。これから6年後、この湘南学園の高校を卒業するまでの間に、まずここにいる学年の仲間達と、いっぱい交流の輪を広げていきましょう。そして大人になってからも、ここで共に生活し取り組んだ友達とのつながりを、末長く大切にしていって欲しいと思います。

皆さんは、それぞれの人生において、一番大切な目標は何だと思いますか。それは、揺るぎない幸せを築くことだと、私は考えています。
いま日本と国際社会は、さまざまな困難や課題に向き合っています。特に昨年3月に東日本大震災と福島原発事故が起きてから、人びとは社会のあり方や人生で大切なことは何かについて、改めて反省し、考え直しています。大震災の時は、当たり前だった暮らしが突然崩れる可能性もあることを、私たちは身を持って経験しました。電気が止まり、電車が止まり、食料が手に入らなくなることもあるのだと知りました。同時にこの世の中は、様々な人たちの仕事がつながって成り立っていることに気づいたはずです。被災者の人たちがいまどんな暮らしをしているか、皆さんは関心を持ち続けていますか。一年を過ぎて報道はだいぶ少なくなっていますが、人びとの暮らしや仕事、そして復興支援の取り組みに、これからも注意して目を向けていきましょう。

皆さんの将来には、大きな世の中が広がっています。自分にふざわしい進路や仕事を選び、社会や地域で人の役に立つ手応えを得ること。愛する人と出会って、温かな家庭を築くこと。心を通わせ、助け合いや感謝の気持ちで結ばれる人間関係に恵まれて元気に生きていくこと。私が「幸福」の条件としてイメージするのは、そうした生活の姿です。
皆さん、これから始まる中学生と高校生の時代は、そんな人生の展望に向かってとても大切な時代になります。この6年間で皆さんは身体も心も大きく変化していきます。様々な悩みや葛藤やドラマをくぐって、劇的に成長していくのです。「思春期」とも呼ばれる難しい時代でもありますが、その中で皆さんは個性を深め、自分を再発見し、希望する進路をそれぞれ選んで旅立っていくことになります。この湘南学園は、その旅立ちに向けて、皆さんが様々な分野で学び、挑戦する舞台です。新たな学習を通じて視野を広げ、様々な機会に体験や交流を重ね、自分にふさわしい分野を探り当て、夢や希望いっぱいに社会へ進むための拠点になります。

それでは、これからの学校生活で特に大事にして欲しい事を、3つにまとめてお話ししましょう。第1番目は、今日から出会う周りの一人ひとりを大事にすることです。学園小学校から進学した皆さんは、クラスが一緒になった友達を見つけて、もうさっそく声をかけたことでしょう。一方受験で合格して入学した皆さんは、この時点ではいわば「ひとりぼっち」です。いまは緊張や不安もいっぱいあることでしょう。でも大丈夫です。日に日に新しい友達に恵まれるはずです。クラスや学年だけでなく、この先クラブ活動や学校行事で、優しい先輩達とも知り合いになれます。
まず今日から、同じクラスの隣の人、近くの人、さびしそうな人に、少し勇気を出して声を掛けてみて下さい。そのうち電車などでも、一緒になれる知り合いが出てきて、毎日の通学が楽しみになっていくと思います。

クラスには、身体の大きな人もいれば小さな人もいます。おとなしい人もいれば元気でうるさいくらいの人もいることでしょう。みんな顔が違うように、人間は性格も個性も様々です。私は中学に入った時は身長135センチでした。頭だけが異様に大きくて、おまけに男子なのに色白で、当時は少なかったひとりっ子で、おまけに転校生でひとりぼっちでした。いろいろ引け目があったことを覚えています。それでも何とかなるもので、勉強や部活もやる気になり、友達も出来て、身体も大きくなっていきました。
気をつけて欲しいことは、見かけのいろんな違いを理由に、他の人の気持ちを考えない言動を慎むことです。「あいつは変だぜ」とか「あの人きもい」のような悪口は絶対に慎みましょう。悪ふざけや暴言が重なって、いじめや大きなけんかにつながることもあります。特にいじめは絶対に許されないことです。「親しき中にも礼儀あり」という言葉がありますが、気心が知れている相手だとつい乱暴を重ねて傷つけることも起きやすいものです、直接にまたはメールなども含めて、言葉の暴力が一番注意です。「自分が言われたら嫌な事は相手には言わない!」というのが鉄則です。お互いに気持ち良く生活できるように、周りの人たちの気持ちを推し量れる人間になりましょう。この中高の6年間で学ぶのは、勉強だけではありません。人間関係の大切さについても、いろんな機会に学んでいって欲しいと思います。

第2番目は、自分から進んで積極的に学習する力を身につけることです。中学になると、授業を担当する先生は毎時間変わります。「算数」は「数学」と名前が変わります。新たに「英語」も始まります。各教科の宿題も小学校の頃よりずっと多くなります。そして年に数回、いろんな科目のテストが続く「定期試験」が行われます。一人ひとりの成績も詳しく示されて、皆さんやご家族のもとに報告されます。そして6年後には、大学進学という重要な課題が待っています。この春に卒業した先輩達がどんな大学に合格したかは、校舎の玄関やホームページで紹介されています。その素晴らしい実績に注目して欲しいと思います。皆さんもどうか高い学力を身につけて、自分が選んだ、将来の進路につながる、あこがれの大学に進学して欲しいと思います。
そのためには、自分から進んで取り組む学習習慣を身につけることが重要になります。毎日の授業にしっかり集中してノートをきちんと取ること。指示された作業や復習に積極的に取り組むことが基本です。中学では、日々の取り組みを時々チェックする「小テスト」や「単元テスト」も行われます。それはある程度時間をかけて準備すれば、満点を取れる内容です。皆さんへ届けたい勉強のメッセージは、「小さなパーフェクト」です。勉強では何よりも「一歩一歩地道に積み上げていくこと」が大切です。いろいろな機会に「小さなパーフェクト」を心がけ、丁寧な努力を重ねて、勉強に自信をつけていって欲しいと思います。
その上で、自分の好きな教科や興味のある分野は、おもいきり好奇心を発揮しましょう。学校の授業だけが勉強ではありません。本やテレビ番組やネットの情報を通じて、または旅行や見学を通じて、新しいことを知ってワクワクする、感動するような発見をすることがあるものです。人類がたくわえてきた素晴らしい文化や科学や芸術と、たくさんの出会いがある6年間であるとを期待します。

関連して第3番目には、いろんな本をたくさん読んで、自分の世界を豊かに拡げることです。読書の習慣を身につけ、「考える力」や「感じる力」を豊かにしましょう。皆さんは、小学校時代にすごく感動したり、心に残っている本はありましたか。町の図書館や、学校の図書室や、大きな本屋さんへはよく行きましたか。この学園の図書室は、皆さんの教室のすぐ近くにあります。ぜひ早めに行ってみて下さい。日当たりが良くて、気持ちのゆったりする、すてきな部屋です。3万4千冊近いたくさんの本が並んでいます。絵本やCD・DVDも置いてあります。お勧めの本には、司書の先生や図書委員会の先輩達が書いたお勧めのガイドもついているので、注目して欲しいです。

中学1年の先生方も、「朝読書」の時間を設けることを決めています。「朝読書」では、それぞれ読みたい、好きな本を持ってきて読みます。多くの人達が小説を読むようです。いまはやりの人気作家の作品から、定評ある日本や世界の名作まで幅広いです。通学の電車の中で本を読む習慣がついて、一年間に何十冊も読むようになった先輩たちもいます。
良い本に出会うと、将来の夢や目標につながるきっかけになることもあります。大学でこんな勉強をしよう、将来はこんな仕事をしてみたい、こんな人生を送りたい、という希望がわいてくることもあります。また、悩んでいる事やつらい事についてヒントを得たり、解決の方向が見えてくることもあります。人生は、ある意味ではとても短いものです。良い本をいろいろ読まなければもったいないともいえるでしょう。一人ひとりの生活や人生は限られた幅の中にありますが、読書によって世界が豊かに広がることは間違いありません。
以上、3つのテーマについてお話ししました。自分の周りの一人ひとりを大事にしよう。勉強は自分から進んで積極的に進めよう。そして読書で自分の世界を広げよう。この3つです。ぜひ心がけて下さいね。

最後になりますが、保護者の皆様方、お子様のご入学を重ねてお祝い申し上げます。
湘南学園は、保護者の皆様と教職員の連携を大切にする私学です。
様々な教育活動で、お母様方、お父様方のご協力を戴きながら運営しております。

新入生をお迎えする中1の学年スタッフは、この日の出会いを楽しみに準備を重ねてまいりました。このご縁を大切にして、精いっぱいの関わりと指導を期して頑張ってまいります。どうかご協力をお願い申し上げます。
新入生の皆さんが、この湘南学園で安全に楽しく充実した生活を送り、夢を広げながらご成長されることを、教職員一同心から祈っております。
それでは以上で、私の式辞を終わらせていただきます。ありがとうございました。


各クラス担任がひとりずつ名前を読み上げる新入生紹介です。

新入生代表挨拶です。力強い決意が込められたすばらしいものでした。

入学式が無事に終了。ホームルーム教室に移動です。

クラス開きを待つ新入生達の様子です。

みんな真剣に担任の先生の話に聞き入っています。

別のクラスの風景から。このクラスの担任の先生お手製のくす玉を生徒が無事割ることができ、新入生と共に保護者も拍手。緊張が一気にほぐれる瞬間ですね。

ホワイトボードのイラストは在校生が描きました。

桜に見守られ、山田校長と記念撮影です。