第691回 「ESDってなに?」~先生方の教育研究会

2013年6月8日

 定期試験が終わって、今日から平常授業が再開しました。テストは返却されてからが実は一番大切、ともいえます。各科目の先生方のコメントを受けて、地道な復習と振り返りに努めることを強く希望するものです。

 

  今日は、試験中の5日午後に行われた、先生方の小さな教育研究会についてご紹介します。「ESDって何?~学校教育とESD」というテーマで、玉川大学教育学部教授の小林亮先生にご足労頂いて、ご講演をして頂きました。
 この方は、湘南学園中高の「ユネスコスクール」への登録申請に際して、助言指導などをして頂いた先生です。幼小中高の学園全体を通じて、湘南学園の総合教育、人間教育の視点と一貫性を深める一貫として、全パートの先生方の任意参加で設けられた「ミニ教研」にあたる集会でした。試験中の夕方の時間帯でしたが、中高パートからもおおぜいの先生方が出席しました。

 

 「ESD」とは、「持続可能な開発のための教育」を示す英語です。いま人類が直面している様々な危機的状況に対して、持続可能な社会の形成に向けて、人びとの行動様式、生活態度、基本的価値観を変容させていくことを目的とした教育の営みです。私たちの人間社会や地球環境が、衰退から滅亡へ向かうことなく、あとに続く世代への責任として、遠い将来まで持続できるために必要な行動や態度を学ぶことを目指す言葉です。
 ユネスコ憲章の基本精神を受け、現代社会の様相を踏まえて「地球サミット」など多くの国際会議で提唱され、この間も国連総会の「ESDの10年」の取り組みが進められてきました。ユネスコスクールもほぼ世界中の国々に急速に増加しており、日本の政府・文部科学省も教育諸課題を統合するキーワードとして「ESD」の語句を位置づけています。全国と世界の様々な実践記録も公開されています。

 

 小林先生は、教育心理学がご専門ですが、大学ではユネスコクラブも指導され、全国のユネスコスクールを支援する大学間のネットワークの中心としても活躍されておられます。ユネスコ本部や重要な国際会議などに出席を重ねられながら、人類的な高い見地から日本の学校教育の課題を洞察されておられる方です。
 パワーポイントを使った概論的なお話と現場教員との質疑応答で、今回の教研の2時間は密度いっぱい、一気に終わった感じでした。我々が抱えている様々な問題や推進すべき仕事は、巨視的な課題意識によって統合され、学外の様々な方々との協力やネットワークを受けてちゃんと推進していけるのだ、という希望に満ちた教育のルートを提示して頂いた思いでした。
 「持続不可能な社会の現実」をきちんと生徒達に提示すること、総合学習も国際交流も生活指導も共通の目標のもとに統合して捉えるべきこと、もっと具体的にいえば「共生」の思想を根本に、例えば「環境」「伝統文化」「世界遺産」など学びの切り口は様々でも、ESDの視点でつなげて捉えて深めていけること・・・・・・参加した教員皆にとって、今後へ向けての希望の道筋を共有することのできた貴重な学習会でした。

 

 8月末には、「第3回全学教育研究会」の開催が予定されています。今回はその前段にあたる企画でしたが、周到に準備を進めて下さる委員会の先生方にも感謝の思いを深めました。