第192回 元気と展望をくれる1冊の本(1)

2011年2月16日

今日から、ある本について紹介いたします。その内容に強く惹かれて、マーカーを片手に二度目の通読を誘われた本です。
玄田有史著『希望のつくり方』(岩波新書1270・798円)という新書で、昨年秋に出版された小さな本です。お読みになられた方もいるかもしれません。

この本は、現代に生きる人びとの不安、迷いや行き詰まりについて、「希望」というキーワードを軸にその背景を探り、より良い人生を送っていくための励ましに努めた本です。

現代の日本は、様々な重苦しい現実を前に閉塞感や不透明感が拡がり、希望が持ちにくくなっています。そんな時代に生きる私たちは、この状況をどう受けと めて考え、どんな行動に踏み出したらいいのか。そもそも希望とはどんなもので、どうして多くの人びとが希望がないと感じるようになったのか。
本書はそんな問いにストレートに答えながら、一人ひとりが希望をつくり出す時の様々なヒントを紡ぎ出していきます。「希望が前提でなくなった現代日本」 の中で、壁にぶつかった若者や大人に対して、「何を糧に未来へ進むべきなのか」を焦点に、筆者と同志の人達が開拓してきた「希望学」の成果をもとに、リア ルでしなやかなヒントを届けようとしています。

筆者の問題意識は、「ニート」や「フリーター」の言葉に代表される若者のつらい状況が出発点でした。バブル末期の頃から、「最近の若者は仕事が長続きしない」ことが話題になり、定職につかない、つけない若者が急増しました。
玄田教授はこの状況を詳しく調べて分析し、「中高年の雇用を維持する代わりに若者の雇用が奪われている」と考えることが実情に近いと判断し、若者の雇用状況について経済的な解明をめざす著作を出して注目されました。

ただ不安定な雇用下にある若者の多くに共通する「欠ける何か」があると感じ、それが「希望」であると認識し、若者の問題に取り組むには希望の問題と真っ正面から向き合う必要があると考え、「希望学」を立ち上げたのです。
失業した若者や、危機を乗り越えた経営者、かつての繁栄を失った地域の住民など多数の人びとに、実際に出向いて会ってインタビューや対話を重ね、そこで確認できた視点をまとめていかれたことがすごいな、と強く感じました。

この本で述べられているポイントについては、次回ご紹介していきたいと思います。