第885回 ユネスコスクールへの加盟について②

2014年5月14日

昨日からのつづきです。

世界と日本で増加してきたユネスコスクールは、グローバル時代の現代にふさわしい、次のような活動目標を掲げています。
「地球規模の様々な問題に対して、次世代の若者が対処していけるような、新しい教育内容や教育方法の開発や発展を目指すこと」、そして「ユネスコスクールのネットワークを活用して、世界中の学校と生徒間・教員間の交流を促し、情報や体験を分かち合うこと」という綱領です。文部科学省や日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールは「ESDの推進拠点」と位置づけられています。

 

加盟のメリットして、世界の加盟校の活動情報を提供し合ったり、直接交流できる機会を探ったりすることもできます。HPを通じた情報交換もできれば、ワークショップや研修会で知り合い、学び会うこともできます。ESDのための教材提供や、国内の関係機関との連携を広げることも期待されています。
ユネスコスクールは、幼・小・中・高・大など、ユネスコの理念に沿った教育の取り組みを継続的に行っていることを条件に、幅広い対象の学校に加盟資格が認められています。年に一度、日本ユネスコ国内委員会に報告書を提出することが必要な一方で、ユネスコが提案する教材が送られたり、ユネスコやその関係団体が行う様々なイベントに参加する機会にも恵まれます。

 

第二次大戦終結の直後に起草された「ユネスコ憲章」の前文には、途方もない犠牲者を出した大戦への反省と不戦の誓いから、深い決意が述べられています。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」との一節は特に有名です。世界中の人びとが同じ人間どうしでありながら、相互の生活や風習を知らず、疑惑と不信、無知と偏見を広げた事実を受けて、お互いに助け合い関心を持ち合い、人間の尊厳への理解を深める教育を進め、人類の知的で精神的な連帯を築き、世界中の人びとの永続的で誠実な支持を確保できる平和を追求していこうと述べられています。地上のすべての人に教育の十分で平和な機会が与えられて、思想や知識が自由に交換されることが重視され、ユネスコは国連が目指す「国際平和と人類の共通の福祉」という大きな目的を促進する要の組織であることがうたわれています。

 

そこから約70年が経ちました。21世紀はかつては想像もつかなかった情報化やグローバル化が進展する一方、国際社会や日本をめぐって私達は厳しい現実に直面しています。近隣諸国との外交関係の悪化や、繰り返される諸民族の対立、グローバル経済をめぐる激しい競争の歪みなど、次世代を担うべき若い世代に対して申し訳ない様々な現実があります。その中で世界各国の公教育が、国連やユネスコの掲げた平和と協力の理念をもう一度共有し直し、未来に責任を持った教育内容の改革や充実を追求していくことに重要な意義があると思われます。

本校は現代教育に求められる国際的なミッションを自覚し、ユネスコスクールを軸とするESD推進の潮流に加わり、学園の教育目標の実現をはかっていきたいと願っています。