第948回 持続可能な未来を考える~中3研修旅行の紹介記事

2014年9月10日

『週刊・観光経済新聞』の9月6日号に、本校の中3研修旅行についての詳しい特集記事が掲載されました。今日はこのことを紹介したいと思います。

 

「中学校教育旅行特集」のテーマで、農山漁村での民泊体験など様々な体験学習が中心となる、全国各地の優れた中学修学旅行の取り組みを取材したものの1つです。

夏休み中に長時間の取材を受け、昨年度中3の学年主任だった有薗先生の説明が、判りやすく丁寧にまとめられていました。

準備と本番の展開、旅行の成果と願いが記された長い文章から、要点をまとめてみます。担当した学年教員の、熱い教育の願いに注目して頂きたいです。

 

・本校がユネスコスクールに認定された中で、「持続可能な社会の担い手を育てる」という教育テーマを実践する場として、中3研修旅行は重要な意味を持っていた。1つのイベントで終わらせず、前後の学びも重視して中学の総まとめとして高校へつながる大事な学習の機会とした。

・訪問先の周防大島と周辺は、首都圏では決して体験できない暮らしに出会える魅力的な場所である。瀬戸内海の西部でも大きな問題となった原発・核兵器、エネルギー、暮らしの観点から、「持続可能性」をテーマに事前学習を大切にした。そこでは藻谷浩介氏の『里山資本主義』の課題提起から深く学ぶようにした。

・「生きることの意味」を被爆地広島から学び、西瀬戸内の島で暮らす人びとから「人はどう生きるのか」を学ぶことがメインであった。その事前学習では社会科・国語・音楽の授業で関連する授業も行い、教科横断型の学習を通して感性的認識と社会認識を結びつけようとした。

・研修旅行では、瀬戸内の自然と開発に関わって取り組む人びとに積極的にお会いして学び、島では多彩な体験プログラムで楽しく体験、考察した。3つの島で50世帯ものご家庭にお世話になって民泊を行った。生徒達はそこで「持続可能性」について初めて実体験できたと語った。ほとんどお金を使わない漁師や農家の生活に驚き、地元の食材を大切にする暮らしを見聞して、「持続可能な未来をつくるには生物多様性の保全が必要だ」とも気づいていた。

・旅行後の感想文では「魚の危機は自分達の暮らしの危機にもつながる」など自然との共生の思いや民泊を通じて得た人とつながる喜びなどをまとめたものが多かった。今回の研修旅行を通じて、社会や政治、環境問題を自分に関係あることと受けとめられ、小さな生き物の命が人間の生き死ににも関わることまでつかんでくれたことと思う。持続可能な未来をつくるために、自分達に何が出来るか考えられる人間になっていってもらいたい。