第1166回 ESDのカリキュラムを構想して

2015年9月18日

前期期末試験の最終日です。試験後にはクラブ活動や委員会が再開され、明日の学校説明会&ミニオープンキャンパスの準備が行われます。

今日は、時代の変化をふまえた教育課程の新たな構築へ向けて、本校の先生方が現在進めている作業について、その概要をお伝えしたいと思います。

 

「ESD」というキーワードがあります。「持続可能な開発のための教育」という意味であり、国連やユネスコ、更には日本の文科省や環境省も重視して推進している教育の課題です。

本校では、独自に続けてきた総合学習や、拡充してきた国際交流プログラムなども土台にして、“グローバル社会の進歩に貢献する、明朗で実力ある人間の育成”を目標にして、本校独自のESDを築いていきたいと願っています。

その重要な一環として、中高6年間の教科カリキュラムの全体を、ESDの観点から再編成していくことになりました。生徒がもっと学ぶ楽しみを広げ、主体的な学習へ向かっていけるようにするには、様々な教科・科目がもっと関連性を強めて、時には総合学習とつながるテーマ学習を積極的に組み込みながら、能動的なアクティブラーニングの機会を豊かにしていく必要があると考えています。

 

具体的には、中高6学年の各学年ごとに、1年間の「教科カレンダー」を可視化できる一覧表にして、各教科・科目では毎月、どんな単元学習を行っているのか、つかめるようにしました。

そして「ESDカリキュラム構想委員会」が招集されます。教科主任や教科担当の先生方が集まり、同時期の他教科の学習内容も参照して、単元の配置替えや、複数の教科が連携するテーマ設定の可能性を探ってみます。特に研修旅行や校外訪問学習と連携するテーマ学習の特設などについても意見を寄せ合います。教員は気づいたことやアイデアをメモで出し合い、学年ごとにマッピングして、今後の具体化に役立てていきます。

日本の学校の教育編成では、文科省から示される「学習指導要領」に対応することが求められています。一方で大学入試という課題に対応した編成の工夫も必須となります。結果的に日本の中高生は履修科目が多くて、どうしても知識の詰め込みと試験でのアウトプットに傾斜しやすい状況になっていることが指摘されています。

その結果起きている現在の状況に対する反省から、文科省は「思考力・判断力・表現力」などを重視する方向で、大学入試の根本的な改革、高大接続の大きな課題を真っ向から提示するようになりました。本校の現在の取り組みは、グローバル時代を生きる次世代の洞察力や行動力を育てる教育課題とともに、きたる大学入試制度の変革にも備えたものになると考えています。

 

今週行われた「構想委員会」に先立って、先週にはESD構築へ向けて、現在の問題点と課題を、全教員が班に分かれて話し合い、「KJ法」を使って「気づき」のメモを出し合ってマッピングし、重点課題を整理して構造化する作業を行いました。主題は「生徒達の主体的な学びを育てるために」として、ESDの専門家お二人のご教示を受けながら進めた次第です。

生徒達と日々接する先生方の経験と反省、知恵に広く立脚しながら、ボトムアップでESDのカリキュラムを構築する作業が始動されているのです。