第1200回 持続可能な開発目標・SDGs~国連70周年の決意 ①

2015年11月7日

湘南学園中高は、ユネスコスクールに加盟しています。ESD(持続可能な開発のための教育)の視点から中高6年一貫教育の充実を図り、グローバル社会の進歩に貢献する明朗で実力ある人間を育てることを目指しています。

この教育目標に深くつながる重要なニュースが、この秋に報道されました。国際連合の総会で、世界の首脳達により、「持続可能な開発目標」が採択されたことです。世界が直面する貧困や気候変動など地球規模の課題解決へ向けて設定されました。

 


国連が創設されて今年で70周年を迎える中で、全世界の人びとの生存と人権を守り、生活と幸福の基盤を育む上で、国連のはたす役割はさらに大きなものになっています。

15年前の2000年に、世界の首脳達はより安全で豊かな世界の実現へ向けて「ミレニアム開発目標」・MDGsを合意しました。貧困の半減、より健康に暮らせる世界を目指そうと8つの目標を設定したのです。国連は政府やNGO、市民組織と協力して数々のプロジェクトを推進し、たとえば極度の貧困層は1990年の約19億人から約8億人まで減少したそうです。乳幼児死亡率が下がり、就学率が向上するなど目に見えた成果がありました。

しかし未達成の項目も数多く残り、新たな地球規模の諸問題が露呈しました。そこで国連加盟国は、世界の専門家や市民も交えて議論を続け、2016年から15年間の新たな目標として「持続可能な開発目標」・SDGsに合意したのです。

 

SDGは、17の目標と169の具体的な達成基準で構成されています。
この場では17の大項目だけ挙げてみます。

  1. あらゆる場所で、あらゆる貧困に終止符を打つ。
  2. 飢餓に終止符を打ち、食糧の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する。
  3. あらゆる年齢のすべての人びとの健康的な生活を確保し、福祉を推進する。
  4. すべての人びとに包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する。
  5. ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る。
  6. すべての人びとに水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する。
  7. すべての人びとに手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する。
  8. すべての人びとのために持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワークを推進する。
  9. レジリエントなインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る。
  10. 国内および国家間の不平等を是正する。
  11. 都市と人間の居住地を、包摂的、安全、レジリエントかつ持続可能にする。
  12. 持続可能な消費と生産のパターンを確保する。
  13. 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る。
  14. 海洋と海洋資源を開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する。
  15. 陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る。
  16. 持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべてに人びとに司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する。
  17. 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する。

 
以上の大項目について、世界の現状や到達はどうなっているかが数字で到達が示されています。たとえば最後の(17)では、「2000年には世界人口の6%強にすぎなかったインターネットの普及率は、2015年に43%へと上昇しました。」「しかし40億人以上がインターネットを利用しておらず、しかもその90%は開発途上地域に暮らしています。」という指摘がその中に入っています。

「MDGs」の取り組みをふまえた「SDGs」の設定について、特に注目すべき観点はどんなことでしょうか。(次回へつづく)