第1264回 古今東西の名著の世界へ誘う番組

2016年2月17日

今日はあるテレビ番組について紹介します。毎週水曜日の午後10時からNHK・Eテレで放映される、教養番組の『100分de名著』です。
以前に紹介した事がありますが、最近また観る機会が多くなり、先月と今月特集の名著について、番組放映やテキスト販売の機会があるうちに急いでお勧めしようと思いました。

 

1月は内村鑑三の『代表的日本人』でした。明治時代に英語で出版されたこの本で、キリスト教徒である内村は、東洋である日本にも世界に向けて発信すべき偉大な日本人が輩出されたことを述べます。西郷隆盛、上杉鷹山、二宮尊徳、中江藤樹、そして日蓮の5人の生涯を取り上げます。激動期においても後世へ受け継がれるべき日本人の生き方について模索した書でもありました。

 

そして2月はアドラーの『人生の意味の心理学』です。最近の日本でアドラーの心理学に傾倒して勇気や希望を得る人びとが増えています。フロイトやユングと並ぶ心理学の巨頭であり、「あらゆる人間関係は“縦”でなく“横”の関係にあり、全ての人は対等な関係にある」との考え方に立脚したその思想は、過度のストレスや不安に悩む現代人の心に灯をともす偉大な思想として共感を広げています。今月のテキストは、アドラー心理学の最良の入門書といえるでしょう。

 

『100分de名著』は、毎月1冊、古今東西の名著に光をあて、その作品の奥深さを最も判りやすく解説できる専門家がガイドしてくれる番組です。聴き手のお二人の軽妙なコメントやアニメ解説も入り、楽しく視聴できます。

今月の編集では、<人生を変える「逆転の発想」><自分を苦しめているものの正体><対人関係を転換する><「自分」と「他者」を勇気づける>と各回の表題がつけられています。

 

「どんなライフスタイルを選ぶべきか」は自分自身の決心しだいであり、「共同体感覚」を育成することが教育の根本的な目的である、と説くアドラーの考え方に大いに啓発されます。今月のテーマとの出会いを機に、導き役の岸見一郎氏の著作にも注目しながら、アドラー心理学への理解を深めていきたいです。

日々に悩みをかかえ、希望を求めて模索する中高生や卒業生の皆さんや、僭越ながら保護者の皆様方にも、今月の番組の視聴(再放送もあります)やテキストの購読をお勧めしたいと思います。