第1296回 僕らの一歩が日本を変える

2016年6月24日

高校3年生「票育」の取り組み

 6月19日、公職選挙法の一部改正に伴い、いわゆる「18歳選挙権」が実現したことはご存知の通りです。それに先立ち前期中間試験の最終日、試験終了!の安堵が入り混じった歓声があちらこちらで聞かれるなか、「NPO法人 僕らの一歩が日本を変える」の皆様をお招きして、高校3年生を対象にした「票育授業」が行われました。その目的はいわゆる主権者教育、「18歳選挙権」とその有権者として投票行動が予定されている今夏の国政選挙をめぐる事前教育にあるといってよいでしょう。メディアからも2社が取材に訪れるなど、関心の高さに驚かされました。
 
 内容は、ここ鵠沼が湘南の一角にあることをふまえ、防災のあり方が縷々述べられた後、実際には存在しない「湘南市」の市長選挙を仮想として、その市長選挙に立候補したA、B、C氏が、それぞれ自身の防災津波対策を説明し、有権者である生徒たち(18歳有権者を想定)に信を問い、生徒たちは「有権者」として自分の意思をまとめて投票を行うというものでした。

 A氏は「防災ハンドブック」の配布を、B氏は地域のつながりを生かして「避難訓練」の実施を、そしてC氏は「巨大収納型堤防」の建設を訴えるというものでした。「湘南市」の概要が不明確なままでしたが、ともかく政治政策において「信を問う」という基本を改めて理解してもらい、その上で3氏それぞれの防災津波政策の妥当性、現実性、予算的裏づけ、効果などを、生徒たちはそれぞれのグループに分かれ、立候補者3氏を随時招いて疑問や意見を出し合い、自身の考えをまとめていったようです。

 当日は藤沢市選挙管理委員会の方が実際の投票・集計等に使用する機器類一式をお貸しいただき、投票から開票までのプロセスの実際を、「有権者」である高校3年に説明してくださいました。
 そして、いよいよ投票所へ。投票から開票に至るまでのそれぞれのポジションを教員が担当し、実際の実務を経て開票結果が発表されるというものでした。

 そうしたなか一番支持を得た政策は、B氏の「避難訓練」の実施というものです。生徒の皆さんは、3氏の防災津波対策をしっかりと聞きながら、5年前の3・11東日本大震災から学んだことを改めて想い起こし、そこから教訓を導き出しつつ、「湘南市」に求められる防災津波対策の理想と現実的対応を日常の取り組みから考えだした結果の選択であろうと推測しました。
 
 限られた時間のなかでしたが、高校3年生として、そして「有権者」として、求めるべき「歴史社会」を構想し、その実現に向けた第一歩として、この「票育授業」は意味をもつものとなったようです。テスト明けの一番くつろげるお昼の時間が1時間ほど遅れてしまいましたが、多くの生徒の皆さんは当事者主義を発揮して対応し、求められる有権者としての政治意識の涵養に結びついたようです。
 
 湘南学園の主権者教育は、大きくは「持続可能な社会の担い手」を育てる湘南学園の総合学習のなかで位置づけられ、継続して取り組まれていくことになります。