第1317回 玄関を入るとそこは色彩の坩堝

2016年12月16日

湘南学園幼稚園「がちゃぺたらんど」から

 湘南学園は幼稚園、小学校、中高を併せ持つ総合学園として1933年の創立以来83年の歴史を歩んできました。そうしたなか、各パート(教育機関)の連携・接続・一貫を総合学園として強める取組みを進めています。
 
 師走のある日、湘南学園幼稚園の「がちゃぺたらんど~つくる・かく・あそぶ~」(造形展)を見学する機会を得ました。玄関を入るとそこは色彩の坩堝とでも表現できる空間が広がっています。「がちゃぺたらんど」の趣旨をパンフレットには次のように記してありました。
 
 「『がちゃぺたらんど』は、作品の出来ばえや見ばえを見るのではなく、その子なりの思いや表現を受け止め、子どもたち一人ひとりが取り組んできた過程(姿)を大切にしています。日々の園生活を通して、一人ひとりが生き生きと生活するなかで、楽しいこと、驚いたこと、また美しさ、不思議さ、やさしさなどを心で感じている子どもたち。五感を使い、生活や遊びのなかで培った感性が、様々な形で作品作りにつながっています。」
 
 見学のねらいは2つありました。1つは建学の精神の基点ともいえる幼児教育における表現活動の実際をみたいということ、2つには幼稚園と小学校、高校との連携のあり方の今後について考える機会にしたいというものです。特に後者の点については、現在高校2年の家庭科実習を幼稚園において行っていることもあり、その取り組みがどのように反映されているのか、ということもポイントの1つでした。
 
 さてお目当ての年中組(4歳児ーすみれ)の「枝のオブジェ」という作品群が天井より吊るしてあります。1本の枝にリボン・ひも・細い布などを片結びでいくつも結んであります。そこには子どもたちの結んだ手の跡が残っており、温かみのあるオブジェとなっています。この「結ぶ」という活動に、高校2年生家庭科実習の生徒が関わりました。生徒達は子どもたちと一緒に、ゆっくり丁寧に取り組んだようです。この「結ぶ」という取組みは、幼稚園と高校とのまさしく「結ぶ」ということでもあるのです。高校2年生の皆さんも、自身の幼少期~4歳児像を思い起こし、「結ぶ」取組みを通じて、多くのことを目の前の4歳児から学んだことでしょう。
 
 このように「がちゃぺたらんど」は、年少・年中・年長の子どもたちが、五感を活かした創作活動、表現活動のステージとなっており、どの作品も一人ひとりの子どもの作品(個性)が主張するものになっていました。さて、1月には中高の「合唱コンクール」が、2月には小学校の「制作展」、そして3月には「ヤングアメリカンズ・リーチイン湘南学園2017」と湘南学園の表現発表会は続きます。