第487回 高校2年生の家庭科~湘南学園幼稚園で保育実習

2012年6月22日

 わが子たちが通った幼稚園は、自宅から近い所にあります。生き物が多くて小さな畑があるのが印象的でした。動物の鳴き真似が自分の得意で、園児達がワッーと集まって数分間スターになるのを、息子や娘は喜んでくれたように思うのですが。自分自身の幼稚園時代は、もうはるかに微かな淡い想い出です。

 さて今日は、湘南学園が幼稚園と小学校も持つ「総合学園」の利点を生かして実施している、独自の体験授業についてご紹介します。
 高校2年生は、全員「家庭基礎」という科目を履修します。年間を通して、家庭生活、子どもの保育、消費者問題などを高校生の視点から学んでいきます。

 湘南学園の幼稚園では、子ども達が力いっぱい遊びや諸活動に取り組むことを基本に「いきいきと生活する子どもを目指す」多彩な保育が展開されています。家庭科の授業時間にそこへ、クラス毎に「訪問実習」に出かけるのです。幼稚園の施設や環境、園児たちの生活ぶりを観察し、園児と楽しく遊ぶことをメインとします。訪問後にレポートを提出します。いまこの保育実習のラウンドの真っ最中です。なつかしい母校の再訪問にあたる諸君もいます。

 この実習では、「お兄さん」「お姉さん」の到着を楽しみに待つ園児たちに迎えられて、高校生諸君は、年少児から年長児達の遊びの仲間に入れてもらい、園児の名前を呼び、童心に帰っていっしょに遊びます。
 “子どもって可愛い!”と改めて気づき、かつて自分が幼児だった時代を何か思い起こすかもしれません。また親のせつない気持ちにも気づくはずです。いずれ将来に“自分も母親、父親になるんだ”との思いに至るかもしれません。考えてみるとその教育的意味にはとても深いものがあるのです。

 女子の生徒達は、もうさすがに子どもの扱いが上手な人が多く、母性を発揮する姿には感銘を受けます。また男子の生徒達の姿がとても印象的です。照れながらも、不器用に懸命に園児たちと関わろうとする姿に、ふだん見られない優しい表情がのぞいたりもします。この保育実習をきっかけに、その後男性保育士を自分の職業として選んだ諸君も何名かいます。

 この貴重な保育実習は、秋にもう一回、第2ラウンドを実施します。1回目の反省を生かし、より深い課題意識を持って実習すると、考え方や認識が深まるとのねらいにもとづいています。
 学園幼稚園の先生方の多大なご協力とサポートを頂いて、長年続けてきたこの保育実習の機会を、これからも大切にしていきたいと思います。