第318回 今日から後期の学校生活がスタート!

2011年10月11日

10月も中旬に入りました。本日から後期が始まります。

1校時、まず全校生徒がアリーナに集合し、始業式を行いました。2校時は各クラスでホームルームを行い、中2は学年集会をひらきました。3校時から、後期の授業開始です。高1は校内模試を受験します。
秋から冬へと向かう後期の前半。生徒諸君にまず伝えたい言葉は、やはり「実りの秋」です。前期に比べれば、日々の暮らしを整えて新しいリズムを築き直すしやすい日々を迎えます。それぞれの諸君が充実した学校生活を軌道にのせて欲しいと願っています。
校長通信も今日から再開します。これからも引き続きご拝読をよろしくお願い申し上げます。

先週の前期終業式の分と合わせて、本日始業式の表彰事項について、まとめて掲載いたします。本日の校長からの話も、これまで同様にご紹介します。

【前期終業式・表彰関係】
<体力テスト表彰賞>体育の授業で実施され、各学年の男子・女子の最高得
点者を対象にしています。今回は同点の人達も何名かいました。
高2の徳長貴哉、高橋七望、高1の菊間智喜、堀田実希
中3の山口祐介、山口有沙、荒木加織
中2の土居健作、貝戸結菜、篠山静渚、小林実可子
中1の松本凜太郎、坂田沙英
<理科第2分野の夏休み自由研究> 各学年の指定・自由部門のグランプリ・
準グランプリを受賞した諸君が対象です。学園祭で多数の優れた作品
が展示されました。
中3の林仁菜/木川加奈子、井上崚河、永松祐樹
中2の藤井汐海、山形匠海/鈴木彩乃、大脇いずみ、天野里香、柳川日向子、
坂巻拓哉、高橋百佳
中1の村田裕哉/山田圭人、石井さえ
テニス部 湘南地区高校夏期大会 第3位 高2青木ひかる
ピアノ ピティナ・ピアノコンペティション全国決勝 連弾上級奨励賞 高2大脇ひとみ
バスケットボール部 県私立中学選手権大会・女子 第3位
水泳部 湘南ブロック中学新人研修大会総合~男子第2位、男女第3位
男子50m平泳ぎと100m平泳ぎ・優勝 中1藤野哲弥
男子50m自由形・優勝 中2石橋和明
男子200m平泳ぎ・優勝 中2鈴木常寛

【後期始業式・表彰関係】
2011年度後期奨学生 中学1年~高校3年 各学年3名ずつ
前期の成績で各学年上位3名ずつの優秀な諸君を対象としています。
2011年度前期成績努力賞 中学2年と中学3年 各学年5名ずつ
前期初めと比べて成績の上昇が著しかった諸君を対象としています。
ダンス部 第9回相模原よさこいRANBU・ベストスマイル賞

【校長からの話】

全校生徒の皆さん、おはようございます。今日から、後期が始まります。
まず始めに、皆さんにお礼の報告をします。
東日本大震災を受けて、湘南学園でも全学的な節電の努力を続けてきました。
そのうち、今年の7月と8月の真夏の結果が判明しました。
中学・高校のガスと電気の使用料金は、昨年の7月と8月の実績と比べると、金額ベースで前年比約79%と、20%以上の削減を達成することができました。
皆さん、ありがとうございます。
ただ昨年までは正直、冷房の温度や電気の照明など、節電や省エネの意識はとても弱かったのが実態だったと思います。
どうか今後も引き続き努力を続けていきましょう。秋から冬にかけても無駄な照明や暖房などを極力避け、節電と省エネに努めて下さい。

さて今日は、少し広い視野から、皆さんに問題提起をしたいと思います。
いま日本の世間では、「就活」とか「婚活」という言葉が流行しています。
特に学校を出た若い人達の多くが、就職に苦労している現実があります。
アメリカでも、9%以上という高い失業率が続いています。職を持てない人たちのデモが連日続き、そこに若者達が次々と参加しています。社会の不満や不安が大きく、オバマ大統領の再選は厳しいという見方も広がっているようです。
日本の現状も1つ示してみましょう。高1の文理選択の指導でも示されたデータですが、この春の全国の四年生大学を卒業した人達の調査結果があります。
学生数1000人当たりでいうと、どこかに就職できた人はそのうち622人です。大学院や専門学校に進学してキャリアアップを図った人が161人、就職も進学も決まらずに卒業だけを迎えた人は「回答なし」も入れて何と217人もいました。高校を卒業して就職を目指す人達はもっと大変な状況です。
3年前にアメリカで起きた「リーマン・ショック」という事件の後、世界の経済はいっそう困難な状況を抱えるようになりました。
日本の経済も、グローバル時代の不況や円高に苦しみ、不安定な仕事に就く人達がおおぜい失業しました。更にはこの春の東日本大震災の影響も加わりました。たくさんの企業が倒産に追い込まれ、新しい正社員を雇うことを控えています。

そんな時代の中で、皆さんにまず訴えたいことは、この世の中の動きに広く目を向けること、その中で自分の将来の方向を考えて自分にふさわしい明確な目標を見つけることの重要性です。
この湘南学園中高で学校生活を送るのは6年間です。その先ここにいる皆さんは、四年生大学などに進学するはずです。でも自分の人生のメインは、学校を卒業してその先の長い年月にあります。様々な試行錯誤があって、生活の舞台の変更もあることでしょう。
人生で一番大切なことは、揺るぎない幸福を築くことだと思います。
そのために、自分の能力や適性を生かして頑張れる、やり甲斐のある仕事を持つことは、その拠点となる重要な目標となります。学園生活の6年間で、自分の進みたい道を温めながら、きたる大学受験、そしてその先の就職活動を、積極的に乗り越え、それぞれの夢を実現してほしいと思います。

皆さんは、湘南学園の教育目標を知っていますか。
「社会の進歩に貢献する、明朗で実力ある人間を育てる」
これが私達の願いです。ここに「明朗で」という言葉があります。
毎日のニュースでは、深刻な事件や犯罪とか、重苦しい社会の様子などがどうしても目立っています。しかし日本の社会には、長い歴史を経て築かれた、素晴らしい文化やネットワークがあります。この世の中はとても広くて、かけがえのない仕事や人びとのつながりがたくさんああります。
皆さんには、何よりも自分の将来の夢を育み、大学生や社会人になった時には、自分から進んで温かなそして積極的な人間関係を築いていける力を養い、希望を広げていける楽天的な生き方をしてほしいと思います。部活動や学校行事で友達と力を合わせて頑張ることも、将来の生活や仕事に元気を届けてくれるはずです。
また本校では、中高6年間をかけて「特活」と呼ばれる総合学習を展開しています。
この特活は、社会に生きる様々な人びとから直接に学ぶ取り組みです。
ここでここ数年間で在校生の人達がお世話になってきた数多くの中から、この藤沢市内にご縁がある方々、2組の方々のことを紹介します。

お一人は宮治勇輔さんという方です。いま32歳の宮治さんは数年前の中2の特活で、二度講演に学園に来て下さいました。湘南台にある慶應大学総合政策学部で学んだ宮治さんは、家業の養豚業に取り組んでいます。幼い頃は家業には「きつい・汚い・かっこ悪いの3K産業」のイメージを持っていたそうです。ところが様々なきっかけから就職した会社を辞めて弟さんと家業を継ぎました。新しい農業の仕組みを仲間の人達と模索して、インターネットを利用したメルマガの発信、BBQの開催、通信販売に力を入れました。今では売り上げ激増で「みやじ豚」のブランドは広く知られています。
宮治さんは、野菜や畜産など農業が元気にならなかったら日本はつぶれてしまう、と危機感を持ちました。若い人達に、農業の世界を「かっこよくて、感動があって、稼げるという意味での3K産業にしていきたい、ぜひ仲間に入ってみて欲しい」と呼びかけました。母校の慶應大学で再び学び直し、若い農家世代のネットワークを広げて、市民講座や研修を担当しています。
最近では東京ど真ん中の六本木にある「農業体感レストラン」にも関わり、東日本大震災の被災地支援も兼ねて、東北と北関東の食材を中心に用意したバーベキューの開催が大盛況で、注目されています。

もう一組紹介したいのは、この秋も中3の皆さんが研修旅行の民泊でお世話になる、山口県の周防大島の佐藤哲夫さんと美智子さんのご夫妻です。実は先日の学園祭とバザーに佐藤さんご夫妻は来園して下さいました。いまの高2と高1でお泊まりでお世話になった人達もこの中に何名もいます。ご夫婦に再会して嬉しくて泣きじゃくった女子の人達もいたようです。
佐藤さんご夫妻は、いま島で「げんきや和」という地域活性化協会を起ち上げて、都会から島に観光や修学旅行で来られた人達に、瀬戸内海の海と山の体験プログラムを提供する「モアアップスクール」を開き、島の果物や海産物を販売するお仕事もされています。
お二人はともに神奈川県内の公立中学の先生でした。教科のご担当は理科と体育で、藤沢のライフタウンにお住まいでした。それが約6年前に旅行で周防大島に行かれて、すっかり島の世界に惹かれました。お二人のセカンドライフの拠点として決断され、十数回の往復を経てこの島に移住されたのです。町の役場や島の住民の人達とのネットワークを広げて、島の経済と観光の活性化を図っておられます。
都会や都市から島へ来た人びとや関わった人びとに、元気と感動を届ける新たなお仕事を展開されているのです。この佐藤さんご夫妻には、いまの高3の皆さんが中3の年からお世話になっています。体験学習から1泊へ、更には2泊の島体験へと関わりを深めさせて頂いているのです。

本校が特活でお世話になってきた中から、2組の方々を紹介しました。
皆さんに伝えたいのは、この社会には、人びとの幸福に貢献する志を持って生き生きと働き暮らす人びとがおおぜいることです。近隣の地域から全国、海外まで素晴らしい人びとのつながりの輪がいろいろあることです。世の中は捨てたものではありません。そうした方々の生き方を学び、様々な勇気やヒントを得てほしいです。
それには直接に出会うのが一番です。その気になれば直接にお会いすることだって可能です。また直接でなくてもに役に立つ情報はいろいろ得られる時代です。
たとえば、テレビ番組にも優れたドキュメンタリー番組がいろいろあります。
気になるキーワードから、インターネットで検索して、たちどころに魅力ある情報に接することもできます。
また時には大きな本屋さんへ立ち寄って、書籍や雑誌に注意してみましょう。

若い皆さんは、自分の人生の拠点を探る、長い旅の途上にあります。
そのルートの手前にある関門として、大学受験もあります。
世の中でたった一人の自分の人生を、大事に考えてほしいです。自分の人生と課題を大事にすることは、一日一日を大切にすることにつながっていくはずです。
それでは皆さん、どうか健康と安全に気をつけて、世の中の動きに十分目を配り、自分の将来に繋げて考えながら、充実した後期の毎日を過ごしていって下さい。
・・・・・・以上で私の話を終わります。