第321回 被災地へボランティアに行く:ある高校3年生の手記(2)

2011年10月14日

昨日の続きです。種子島七海さんは、大学受験に直面する高3生ですが、この秋に、しかも期末試験勉強の疲労も重なったその直後に、宮城県の被災地へ向かいました。読者の方々はその行動力に驚かれることでしょう。

彼女は中学生の時から、生徒会の幹部のひとりとして頑張っていました。学校行事が大好きでいつも先頭に立つひとりでした。
高校生になって彼女は単身でオーストラリアに留学しました。湘南学園が友好協定を結び、相互交流を深め始めたメルボルンのノックス校です。昨年の夏に私も訪問した時、第1回オーストラリアセミナーに参加した後輩の在校達を迎えて、助言とサポートに努める彼女の姿に接しました。現地での体験学習にも積極的にチャレンジしていました。いろいろ大変な事もあったはずなのに、いつも笑顔あふれる丁寧なガイドを心掛けてくれた彼女の功績に感謝しています。学園とノックス校の友情と交流を深める先鞭をつけてくれたのです。

彼女はその後帰国して復学し、今は明確な進路志望を持ち、日本の大学受験を目指して懸命に取り組んでいます。彼女のいつも積極的な生き方に学ぶ思いです。その夢の実現を応援しながら、最後に今回のボランティア体験の手記を紹介します。

昨日日帰りで東北にボランティアに行ってきた。
正確に言うと、宮城県の七ヶ浜というところ。
半年経っている今、被災地はどうなっているのかなっていうのと、ずっと行きたいっていう気持ちがあって、(受験生だけど)参加してみた。
≪風景についての写真は取ってはいけないっていうルールだからないです。他人のものであったりするから、プライバシーの関係で。≫

率直な感想として、津波の爪痕っていうのは、半年やなんかじゃ取れない。
どんなにきれいになったと、何度も足を運んだ人が言っても、私からしてみたら、ボートが田んぼにあったり、いろんなものが木に引っ掛かっていたり、家は破損・・・っていうか津波にえぐられていたり・・・・。かなりショックだった。
地盤沈下も激しかった。バスが普通の道なのに、かなりガタガタ揺れていて、その理由が地盤沈下だった。
(実は、その原因の一つに、自衛隊があった;;自衛隊の重機械が通ることで、更に地盤沈下が増したんだらしい。そんなんありえるかよって思ったけど、それが事実だから怖い。)
そのせいで満潮になると、川の水が増水して、道路が一時的に”通れませんよ”状態になるらしい。それは、一つの道路、橋だけではなく、かなり多くの所で。
ここは、日本ですか?ってちょっと思った。

私達は、結局二手に別れて活動した。一つは、松林をチェーンソーで切る部隊、もう一つは、私はそれをしたんだけど、家の瓦礫処理隊。
チェーンソー部隊の目的は、松林の再生のため。”死んでいる”松の木を切ることで、若い松の木に光がいれるようにすることで再生をさせる。・・・だったような←
私のいた方は
1、基礎に使われている木々が腐ってくると、シロアリ、それを食べる動物・昆虫etcがやってきて、衛生上よろしくない
2、きちんと手入れをしている、と示すことで町全体が元気になる
:自分の町が雑草だらけで、家も津波後なにも変わってないって・・・嫌でしょ?
3、依頼主が元気になる
:津波によって、家が基礎・浴槽・家の囲い(ブロックとか)以外全て流されていて、半年何もやっていないから雑草だらけになっていたところを、依頼主の方がもう一度家を建てたいと思った時に、たてられるようにすること。つまり、家を建てる前の基礎まで戻すことが目標。
この3つの目的で家の瓦礫撤去を行った。

最初に担当する美容室をしていた家(というか元家)を見た時に“は?今日一日でたった1軒の家!?もっと出来るよ!!”というあまーーい考えを持っていたこと、本当に反省してます。
基本的に、家の一日に一つ出来るか出来ないかが相場らしい。自分達は、まず午前中20人前後で、やっと家の基礎のなかに生えている雑草、レイちゃん(rachaelだと思う笑)というアメリカ人の人が崩した瓦礫を土嚢袋につめるのに終わった。午後には、ソニーのボランティアの人たち40人加わって、庭も含めたすべての雑草抜き、土地を平らにすること、今回の目標がほぼ達成して終わった。

行っている間、かなり感動的な事もあった。
処理中に依頼主の美容師のおばちゃんが訪れてくれて、美容師を続けられるかわからないっていうこと、鋏は15万位かかるから、仙台の美容師が無料で何本か鋏をくれてそれで、たまに髪を切っているといった話や、仮設住宅の話、津波の日のことを話してくれた。そして、私達のグループの1人が、その人のものだと思われる鋏を発見し、渡した時、泣いて喜んでくれたことは感動だった。

昨日は、総勢60余人で一つの家しかできないことに、人間の非力さをとことん感じ、自然の威力を、目ではなく体を通して理解できた。でも、最初は本当に荒れ果てていたところが、綺麗になったことは、嬉しかった。1人じゃダメでも、沢山の人がいれば、家1つから、遠くても、東北は戻っていくと思う。1回の参加じゃ全然足りないから、もっともっと参加したいと思った。
ボランティアセンターという、場所には復興支援として、様々な物が送られてきていた。マレーシアから来ているものもあったり、世界中が応援してくれていることに感謝だった!
前述した中にも出ていたように、外国から沢山の人が未だに応援に来ていてくれて、一緒に働けたのもよかった。世界中が心配してくれていることも、なんだか感動した。

1度の参加だけだったけど、私が思うのは、皆にもボランティアにいってほしい。
自分が行ったって・・・って思うかもしれないけど、そうやって人が集まることで、東北はもとに戻っていくんだと思う。
きっと、今日も七ヶ浜ではチェーンソーをしていたり、新しい家の瓦礫撤去をしているんだろうな。そして、他の場所でも同じことが言えるんだと思う。

すいません、最後になんか臭いこと言いました。
以上ボランティア体験記でした。