第1402回 可能性を引き出す集中力

2019年1月11日

いよいよ新しい時代が始まります。振り返ると、1989年にスタートした平成も瞬く間に過ぎ去っていった感があります。30年という時間は実は短いのだと多くの人々が実感しているのではないでしょうか。

様々な変化も訪れました。今や世界は、人やモノそしてお金、情報が地球を駆け回ることが日常となりました。他者や異文化と関わることが多い時代が始まっているのだと思います。これからの時代を生きていく若者たちに必要なのは、多様なものや他者の価値観を認め、それらと(彼らと)つながり、共に力を合わせて持続可能な社会の発展を推し進めようという精神です。そのような新しい時代の中で、明るくタフな若者に育って欲しいというのが、私たちの願いです。

彼らにはそれぞれの持ち味があります。光る魅力があると思うのです。新しい時代の始まるこの一年が、希望に満ちた一年となることを祈るばかりです。

 

(以下、1月8日の始業式の内容です。)

新年あけましておめでとうございます。

2019年が始まりました。平成最後の年であり、新しい時代の始まりの年でもありますね。みなさんは、この時代の節目をどのように見ているでしょうか。

 

2018年を振り返ると、雨、台風、地震など自然の驚異を感じることが多い年でした。これからの地球はどのようになっていくのだろうかと、不安を感じる人も多かったのではないかと思います。

自然や地球の環境に関することだけではなく、社会では様々、心配な出来事が続いています。これから世の中はどのように変化していくのでしょうか。期待もあるが不安もあります。

 

いずれにせよ、皆さんは私たちの社会の未来を見つめていく中心的存在となることを自覚する必要があります。

 

ところで、世の中の問題は、誰かがやってくれる、責任にある立場の人たちが何とかしてくれるのでしょうか。

本当に、誰かが上手にさまざまな問題を解決してくれるのでしょうか?

人任せにしておいてもいいのでしょうか。

 

未来のことはわかりません。

私たち一人ひとりが関わっているのは現在です。

ただ、現在のことが未来に繋がっていくのだと考えると、私たちには、未来に対する責任があるのではないでしょうか。

どのようなことを考えていくことが、持続可能な世界に結びついていくのでしょうか。これは私たち一人ひとりの課題です。

 

 

2018年をもう少し振り返りたいと思います。

私は、こうした朝礼などの機会に、さまざまなことを話題にして皆さんにお話をさせていただきました。スピードスケートの小平選手が、敗れた韓国の選手に寄り添った出来事、大学のアメリカンフットボール競技で危険なタックルをした選手が、公の場で潔く非を認めた出来事など、注目すべきことがありましたね。

 

これ以外でも、スポーツのみならず注目を受けた出来事がたくさんありました。その中でも、とりわけ若い世代の活躍には目を見張るものがありましたね。卓球の張本選手や将棋の藤井選手、フィギュアスケートの紀平選手、最近では坂本選手も。そしてテニスの大坂さんもいましたね。彼らを見ていると実に眩しいですね。

さて、なぜ彼らは、活躍することができたのでしょうか。

 

専門家でもない私が解説をすることはできませんが、実は、私は彼らにひとつの共通点を感じているのです。これは、私が個人的に勝手に感じていることなので、個人の見解としてお聞きください。でも、その共通点が彼らを成功へと導いているという私の見立てには、かなりの確信があるのです。

 

彼らの能力を伸ばしたのは、何だと思いますか。

私は、集中力だと見ています。

 

張本君も藤井君も、そして紀平さんも坂本さんも、そして大坂さんも…。

彼らには「卓球が大好き」「将棋に夢中」「スケートで頭がいっぱい」「テニス最高!」という夢中になる気持ちの高まりがあるのだと思います。好きなことに集中する力が強いのだという点で、彼らには共通したものがあると私は思います。自分の持つ能力、時間、エネルギーを、大切なことに集中させる力を彼らは持っているのだと思います。

 

さて、ここで、みなさんにお聞きしたいですね。

皆さんの集中力はいかがですか?

高い方ですか?

それともあまり高くない方ですか。

 

あなたの周囲に、集中力の高い人はいますか。いるとしたら、彼らにはどのような特徴がありますか。

 

私は、過去30数年間にわたって授業をしてきました。部活動では部員諸君と共に汗を流してきました。そして集中力の高い若者に何人も出会うことが出来ました。

振り返ると、彼らには共通の特徴があります。

 

それは目です。視線なのです。

 

集中力の高い人は、集中しようとする対象から目を離さないのです。じっと対象を見つめて、意識がそれてしまわないようにしているのです。

彼らは、その瞬間を常に大切にすることが習慣化しているのだということです。人生の時間一つひとつが濃いのだと思いました。

 

みなさん、そんな濃い一年にしてみませんか。

 

まず、じっと見続ける、目をそらさない・・・。それが集中力アップのトレーニング法です。

夢があり、目標があり、それをしっかりと見つめて生きていく。素敵なことだと思いませんか?

それでは、みなさん、本年もどうぞよろしくお願い致します。