第278回 皆さんにぜひ見て欲しい!貴重な報道写真集

2011年6月29日

 高校1年の男子生徒の保護者から、貴重な写真集を複数冊頂きました。
 緊急出版・特別報道写真集
『3・11大震災 巨大津波が襲った~発生から10日間・東北の記録~』
 これは本当に凄まじい写真集です。すぐ開けた見開きから、大震災直後の各地の衝撃的な光景が、あまりにも痛ましい姿が、 見開き2ページいっぱいに次々と迫ってきます。名取、南三陸、仙台市若林区、石巻、宮古、気仙沼、岩沼、女川、 東松島、仙台市宮城野区、大槌、多賀城、陸前高田、釜石・・・・・・その後に日々の報道ですっかり知られた被災各地の、 11日、12日から約10日間の衝撃的な写真が一枚一枚雄弁に、心をえぐるように迫ってくるのです。
 後半には、被災地から避難し、耐え忍び、支え合い、再会を果たし、復旧へ起ち上がる人びとの姿が、大きな感動と 希望を読者の心にもたらしてくれます。
 出版したのは、『河北新報社』という仙台の新聞社です。4月8日に第1刷が発行されています(税込み1000円)。 世界最大級の巨大地震と大津波がもたらした震災の実情を、全社一丸となって取材・報道し、関係者一同力を合わせて 配達に努めました。東北の人たちと共に歩む会社として、暮らしを根こそぎにした震災の実状を懸命に伝えることで、 苦悩や悲嘆を乗り越え、明日への希望を立ち直りへの力につなげていきたい、と書かれていました。
 この写真集に目を通していると、自分達が当たり前としてきた平凡な生活の有り難さを思いやります。その平穏な 生活を根こそぎ奪われた方々の底知れぬ苦しみや絶望感を想像します。
 そして「被災地の惨状をありのままに伝えたい」「被災者の悲しみに寄り添いたい」という、作成者の方々の使命感が 伝わってきます。交通網の断絶や停戦、情報通信の制限など過酷な状況の中で、記者やカメラマンは泥にまみれ、 水につかりながら現場を目指して記録されたのです。この写真集は、未曾有の災害の実相を広く伝え、東北の人びとが心を ひとつに復興へと歩む大きな一助となることでしょう。

 この写真集をお届け下さったお母様は、いつも本校の諸活動にお力添えを頂き、よく存じ上げている方です。 ご実家が気仙沼におありで、今回の大震災では幸いにも被害は最小で親御さんもご親戚もご無事でしたが、5月に 気仙沼に帰られて市内の被害の状況を目の当たりにした時は、自然の恐るべき脅威に声も出ない状況だったそうです。 ご実家の方から地元出版のこの写真集が送られ、生徒達や我々教員にも被害の大きさや実情の大変さをより深く知る 資料に活用して頂ければと、お届け下さったのです。
 ただちに図書室の司書と相談して、よく見えるスペースに陳列し、追加で発注して多数の生徒や教員が読めるように はからってもらいました。
 書店には、東日本大震災の関連写真集が何冊か並んでいます。それぞれの編集方針に力点がありますが、当時の 生々しい被災地の姿を改めてしっかり見つめる上で、この写真集は、地元東北の報道関係者の強烈な使命感と熱い 思いが噴き出る、傑出した歴史的力作です。ぜひ本校図書室で、お近くの書店で手に取ってみて下さい。私も家族皆で しっかり受けとめるために購入しました。