第1472回 「平和への手紙」

2021年5月11日

今日は、昨年度の中3生が作成した広島研修旅行文集「平和への手紙」を紹介させていただきます。

この文集は「平和」に対する各自の思いや考えを手紙形式でつづったものです。すべてのページがひとりひとりの生徒によって手書きで一所懸命に書かれたものであり、表紙にも美術の時間に取り組んだ手作りの作品が使われています。

手紙の宛先をどうするかはそれぞれの考えに任されており、将来の自分や未来を生きる子供たちに向けて書かれたもの、戦時中のつらい時代を生きた方々に宛てたもの、研修旅行の際に直接被爆体験をうかがった白石さんに伝えたい思いをまとめたものなど、実にバラエティに富んでいます。中には、書き手の立場を現代を生きる自分からあえて別に移し、戦後の混乱期をたった一人で生きていかねばならなくなった8歳の戦災孤児の男の子に仮託して、その子の視点から未来への思いをつづった印象的な作品もありましたね。

全員で訪れた平和記念資料館、コース別に訪問した大久野島や岩国の町など、自分が実際に見聞きしたことを振り返りながら、「平和」というものをどのように捉えていったらいいのか、各自が深く、真剣に考えていることがよく伝わってくるものばかりでした。戦争がないことが平和だという単純な図式ではなく、いじめや差別がないことや、貧困や格差が解消されていくことも、平和な世界には必要だという指摘や、お互いがちょっとずつゆずり合いながら他の人たちの幸せをつくりだしていくことが大切だという意見には、大いに考えさせられた次第です。

SDGsが目指す「誰も置き去りにしない世界」を実現するには、この世界で暮らす様々な人の立場に立って考えることがまず大切だと思います。今回の研修旅行を通して、皆さんがこれまで以上に視野を大きく広げることができたのは大変すばらしいことですね!