緑のコリドー(回廊)をつくろう…春の丹沢植樹2022

2022年4月19日

江戸時代より前、丹沢のふもとはカシやシイなどの照葉樹の緑に、また、標高800mより高いところは、モミ・ブナなどの原生林で覆われているのが普通でした。それに加えて、川沿いの不安定なところや急な斜面、稜線部の風のあたりが非常に強いところには、フサザクラやタマアジサイ、カヤなど、独特の植物が生え、変化に富んだ自然の様子を見せていたと考えられています。そして、森には、ツキノワグマ、クマタカ・ムササビ・サルやニホンジカ、イノシシにカモシカ、川にはイワナやヤマメ、サンショウウオなど、多様な生き物たちが暮らしてきました。
 
しかし、第二次大戦後、復興のためにたくさんの木が伐られ、木を伐ったあとは草原が広がり、それを餌にするシカが増えました。丹沢周辺の里が宅地化され、平野から追い出されたからでもあります。鹿はそこに植林したスギやヒノキの苗も食べてしまうので、防鹿柵を作って植林を進めました。そのため、逆に鹿の棲むところがせばめられ、ブナ林の下草を食べたり、ふもとに降りて、畑の農作物に被害をもたらすことにもなりました。それならシカは駆除すればいいのでしょうか?
 
ツキノワグマ・ニホンカモシカ、ホンシュウジカなど、私たちが住むすぐ近くで、大型の野生動物が生息しているのが丹沢の魅力です。しかしいま、森林の荒廃に伴って餌や隠れる場所が少なくなり、これらの動物にとって棲みにくい山となりつつあります。一番問題なのは、生息域が分断され小さな個体群で孤立しつつあるということです。そうなると心配されるのは、健全な種の維持ができなくなること、つまり絶滅です。これを防ぐために、生息域が孤立しないよう、移動できる緑地帯でそれぞれの生息域をつなごうというのが「コリドー(緑の回廊)」です。このために、計画的な森林の保全や動物の生育に適した森づくりを進めることが必要です。
 
今回、市民、行政、そして企業が力を合わせ、緑のコリドーづくりに取り組みました。
学園生も、中2・高1、そして高3のメンバーも参加。気持ちの良い青空と新緑の芽吹きに、「疲れたけど、なんだか来週も頑張れそう✨」と、作業が済んでからも、周辺の斜面を駆け回っていました。