丹沢フォーラム2022…里山の環境と鳥獣被害を考える

2022年11月21日

「こんなに立竹密度が高い竹藪に、美味しい筍は育たないんですよ」…今日の講師、亀山章先生の言葉にはっとする。東京農工大名誉教授でもあり、今は日本自然保護協会理事長でもあられる亀山氏と、かつてその弟子として学んでおられた、神奈川環境保全センター研究員のお二人が講師という、参加しないではいられぬ今日のフィールドワーク…こういう企画を逃さず参加したい!という生徒がいることが、何より喜ばしい!
 
地中で根を張りながら、小さな沢さえ越えてしまうという竹の凄まじい成長の勢い、藪化した竹林の典型を間近でみた。管理放棄するとこんなになる!欅や、クヌギ、イヌシデなどの雑木林さえ、竹藪に飲み込まれてしまう凄まじさだ。
 
なんと年間10平方メートルの勢いで広がるという竹林…人の生活とのバランスが崩れると、自然の荒々しさばかりが強調されるが、かつては秦野でも竹細工が盛んで、生活の中で竹を使うばかりか、ヨーロッパなどへの輸出品でもあって、ちゃんとした生業をなしていたという。
 
今は、藪化した場所でイノシシなどが子どもを産み、隣の畑を荒らす…

鳥獣被害対策というと、「数をどう減らすか」「どうやって罠にかけるか」ばかりに目が行きがちだけれど、市民と行政と、そして企業の力も活用しながら、「周りの里山の環境をどう管理していくか」という本質的な解決への途が探られる時なのだと、素人ながら気づけた1日だった。
 
オケラやコウヤボウキ、ノガリヤスが見られる、手入れされた雑木林を、落ち葉が敷き詰められた森林土壌も含めた生態系ととらえるならば、そこは二酸化炭素の巨大な吸収源でもあるのだ。