2023年度イングランドセミナー6日目の活動報告

2024年4月1日


今日は現地の学校への訪問日。いつもより少し早く8:30にStudy Centreに集合しました。
学校までは全員で2階建の赤い市バス(ホーンチャーチでもロンドンと同じようなバスが運行されています)で移動しました。今回のイングランドセミナーで訪れる学校は、Redden Court Schoolです。
 
Redden Court Schoolは、Year7〜12(日本でいうところの中学生〜高校生)が通うState school(公立学校)です。在校生は1200人ほどで、湘南学園中学校高等学校より少し多いくらいの生徒数です。学校の施設がとにかく綺麗で充実していました。湘南学園の生徒は、Redden Court Schoolを私立の学校だと思っていたそうです。1クラスあたりの生徒数が20名程度ということも聞き、イギリスが日本よりも教育にお金をかけているのを感じました。
 
公立学校の呼び方は、英語圏の国々でも若干異なります。日本人が公立学校を英訳するとPublic schoolとなり、これはアメリカでの公立学校を意味します。ですが、イングランド・ウェールズではPublic schoolは王立(国立)に属する中等教育学校で、特権的な学校のことを意味します。その起源は、中世イングランドにあります。当時は学校への入学は親の出身地や身分、宗派によって制限されていたそうです。また貴族階級の子供たちは主に自宅で家庭教師から勉強を教わっていました。ですが近世になると貴族階級に属さない富裕階層が出てきたことによって、親の出生や身分に関係ない学校が必要だとなってきて、その社会的背景から一般に開かれていた王立学校がPublic Schoolと呼ばれるようになったそうです。現代のPublic schoolは学費がとても高く厳しい入学基準があり、奨学金で入学できた少数の生徒以外は富裕層の子どもが寮生活をしています。ケンブリッジ大学やオックスフォード大学への進学率が高く、国外の富裕層の子どもたちも入学してきているそうです。ESLのAnne先生は、イングランドのPublic schoolはとても特殊でPublicではないと話していました。
 

Redden Court Schoolでは、湘南学園の生徒19人に対してRedden Court Schoolの生徒が1人ずつBuddyとして1日ついてくれることになりました。まずは校長先生からの歓迎のスピーチが行われました。その後はStudy CenterでのESLの2グループに分かれて、授業に参加させてもらいました。この日の授業は全て私たちのために特別に組んでくれたもので、感謝の気持ちでいっぱいでした。
 
まずは数学の授業。この日の授業の内容は、連立方程式(Simultaneous equations)。数学の担当の先生に聞いたところ、連立方程式はYear8(中2)で学習するそうです。イングランドの数学のカリキュラムよりも日本の方が少し早く進んでいますね。湘南学園の生徒たちは、初め数学の先生の話しを理解して聞くことに精一杯な様子でしたが、数学の先生の計算や電子黒板や計算を見て連立方程式だと理解していました。よくわかっていないときは私も若干手助けをしましたが、湘南学園の参加生徒たちにとっては連立方程式はすでに日本で学習していたので、計算できていました。湘南学園の生徒たちは英語の聞き取りを全部できていなくても、数学の背景知識があったので、授業の内容を理解できていたと思います。数学は言語に関係なく、学問として普遍的なものだということを改めて感じますね。またイングランドの数学の授業では、日本と同じように二次方程式の「解の公式」を用いたり日本と同じ部分もある一方で、因数分解の「たすきがけ」のようなものは教えないそうです(似たような考え方は教えるのですが)。またルート(根号)などの無理数(√2=1.4142…)を電卓を用いて代入して答えを出します。今回の授業中に電卓を渡され、湘南学園の生徒たちはびっくりしていました。



美術の授業では、版画を作りました。日本の授業での版画は、木に彫刻刀で彫りますが、こちらの版画は発泡スチロールの板を用いました。紙に絵を描いたら、その下に発泡スチロールの板を置きます。絵を描いた紙の上から尖った鉛筆をさします。そしてインクをつけて版画ができます。写真を載せていますので、ご覧になってください。
 
家庭科の授業では、ビスケットを作りました。イングランドではクッキーとは言わず、ビスケットと言います。これもイギリス英語の特徴ですね。それぞれでチョコレートやレーズンのトッピングを入れていました。完成したビスケットは、かなり甘かったようです。甘いものが苦手な生徒は、ちょっと困惑していましたが、みんなで分けて食べていました。
 
最後は体育の授業に参加しました。当初はバレーボールの予定だったのですが、急遽卓球に変更になりました。変更になっても生徒のみんなは一緒に楽しんでいました。贔屓目に見て、Redden Court Schoolより、湘南学園生の方が比較的上手に見えました。笑
 
Redden Court Schoolでは、とにかく湘南学園の生徒は大人気でした。まさに芸能人のような人気で、驚かされました。Redden Court Schoolの先生の話では、普段このような国際交流がないこと、また学校に日本人がいないので珍しいのもあるとのことでした。休み時間になると生徒が集まってきて、写真を撮っていました。湘南学園の生徒からは、日本から持ってきた日本のお菓子を渡してコミュニケーションをとっていました。日本のお菓子は、なかなかの人気。カナダやオーストラリアのお店ではよく日本のお菓子を見かけるのですが、イギリスではアジア系のお店にしかないので珍しいのだと思います。


授業に参加した後は、最初の講堂に集まって、日本文化のプレゼンテーションを行いました。
テーマは「日本食」「日本のお茶」「日本のアニメ」「日本の四季」「折り紙」「温泉」「日本の文化(歴史も含めて)」をグループ毎に発表しました。最後は、今日の学校訪問のお礼に湘南学園の生徒からBeatlesの「let it be」の合唱をしました。実はこの「let it be」は生徒たちが選んだのです。日本人がイングランドでも有名な曲を歌うことは、とても興味深いです。英語の歌詞で歌うのは難しいですが、事前の練習で少しずつ歌えるようになってきました。発表当日は、歌詞を見ながらではありましたが、みんな大きい声で歌っていました。今日の学校交流で受け入れてもらい貴重な経験ができたこと、その気持ちがみんなの「let it be」に込められていたように感じました。

最後に記念写真をして学校を後にしました。帰り道、みんなとてもいい顔をしていました。