第152回 インターネットと現代の生活(その2)

2010年12月7日

インターネットは、驚くほど便利で画期的なツールです。
何か知りたい事があった時、以前なら本屋さんや図書館に行ったり、そのテーマに詳しい人に会って質問をするのが普通でした。それが現在ではパソコンを開 いてキーワードを1つ打ち込むだけで、関連情報がいっぺんに大量にリストアップされて驚きます。筆者もよく不明確な重要単語や疎いジャンルの単語につい て、「ウィキペディア」などのサイトを利用して調べます。

更に今では、あらゆる商品や商店の情報、たとえば音楽や料理や観光地や海外の文化などあらゆる分野の対象について、インターネットは即時に膨大な関連情 報を届けてくれます。湘南学園は勿論どこの学校も皆独自のホームページを用意していますし、こうした通信を日々発信できる恩恵にも預かっています。
どこの自治体も企業も国家も芸能人もみんな独自のHPを用意して、新しい情報を発信する時代になりました。その行動は準義務化されたともいえる程です。 インターネットの登場は、社会の様子を一変させました。しかしこの風景は、私が中学生~高校生だった時代には、想像もつかなかったことなのです。

インターネットは、見ず知らずの人と顔を合わせずにコミュニケーションする事も劇的に可能にしました。軽々と海を越えて全世界を結びつけました。
しかし一方で、新しい生活のリスクも発生しています。孤独を癒すようで犯罪の温床にもなる「出会い系サイト」などがまず連想されることでしょう。

最近おもに中高生をめぐる話題で、「プロフ」が注目を集めています。プロフとは自分の「プロフィール」を紹介するインターネット上のホームページを指し ます。業者がおもに携帯電話のサイト向けにサービスを提供するのですが、加入者があらかじめ用意された項目に記入していくように作成されます。名前、学校 名、居住地、血液型や星座、好きな異性のタイプなどで、多くの場合は自分の顔写真などの画像も添付してしまい、メッセージの送受信もできます。写真や絵文 字をちりばめ、個人情報満載のプロフ作りに励む生徒もいるようです。

まるで初対面の相手への名刺のような感覚と評されています。このプロフが急速に普及する中で様々な問題が発生しています。今自分が何をしてるか書き込む 「リアル」の機能にはまり、四六時中携帯を手放せず、いつも観ていないと友達が離れる不安に駆られる子がいます。目立とうとして普通は誰にも言わない自分 の「秘密」や過激な行動を深く考えずに漏らしてしまう子も後を絶たないそうです。中傷メッセージが匿名でどんどん寄せられたり、顔写真や電話番号を出会い 系サイトに転載されて恐怖に陥ったり、犯罪に巻き込まれるケースが増加しているようです。

こうした現状に対しておとなである親や教員は、どんな忠告をし助言するのかが問われています。一定のルールや歯止めを約束し、トラブル時の対応方法や相 談窓口を確認することも必要になってきています。このプロフが「親も知らない子どもの秘密が世界へ発信される場所」になる事実を認識し、必要な啓蒙や指導 を図っていかねばなりません。
生徒諸君には、この時代の中で、インターネットの持つ危険性について多方面から十分に理解を深めて、自分を守ってもらう必要があります。情報の授業など具体的に学ぶ場面もあります。一人ひとりが「ネット・リテラシー」を高めていって欲しいと切望します。