第794回 “感情の整理”が上手な人になるには(1)

2013年12月3日

後期中間試験の第2日です。
今日は1冊の本をご紹介します。最近読んでとても参考になり、在校生にも勧めたいし、我々教員にも幅広く推薦したい新書です。

 

『「感情の整理」が上手い人下手な人』(和田秀樹著・新講社新書)という本です。筆者は著名な精神科医であり、大学教授でもあります。

本の帯には、「自分をコントロールして人間関係に強くなる!」「不機嫌で損する人・ご機嫌で得する人~職場で、日々の人間関係で、自分の感情と上手くつき合う法」と記されています。
本の内容は、そのアピールを裏切りませんでした。すぐに引き込まれて納得する箇所が数多くありました。

これは、誰もが日頃から直面する切実なテーマでしょう。ここにはすぐに役に立つヒントがあり、目の覚めるような視点がありました。この本を読んだら心が軽くなる人たちがきっと少なくないだろうと思われました。

 

人間は、落ち込んでいる時はものの見方が悲観的になり、浮かれている時は楽観的になります。感情のコントロール能力は世の中を元気で生きていく上で重要な要素であり、「感情の整理」が上手にできれば「性格の問題」すらかなりの部分が解決される、しかし感情というのは考える以上にコントロールするのが難しいものだ、と和田先生は基本的事実を指摘します。精神医学の世界では、そのためにものの見方を変えたり、行動パターンを変える「からめ手」の方策が勧められています。

 

この本では、感情がいかに人間関係に影響を与えているか、また考え方や行動を変えれば感情を上手に整理できて、生き方や性格を変容できるのかについて、学問的成果と人生経験から、納得できる方法が紹介されています。(明日へつづく)