第841回 遠い冬の日の想い出

2014年2月21日

ずっと厳しい寒さが続いています。あの大雪から1週間も経ったのに、道路の横側にはまだ雪がこんもりと残っています。この異例の景色をみていると、少年時代の冬のことが想い出されました。

 

私は、幼少時代に長野県にいたので、朝晩の冷えこみは強烈でした。家々に続く「つらら(氷柱)」は見事で、ボキボキ折っていく楽しみがありました。
通った小学校にはいくつもの校庭がありました。一番陽の当たらない「北庭」に雪が降ると、皆で並んで踏み固め、ホースで一面に放水します。翌朝にはスケート場の出来上がりです。冬休みも無料でスケートを楽しめました。貧乏な自分は「下駄スケート」なので足が冷えて、立派なスケート靴を履く友達が羨ましかったです。
教室には大きな「だるまストーブ」がありました。雪合戦や雪だるまを楽しみ、耳当てですっぽり顔を覆って登下校しました。使い捨てカイロなどはもちろんまだなく、夜は湯たんぽで足を温めて眠りにつきました。小学生まで銭湯に通い、冬は帰り道の湯冷めを少しでも避けようと小走りに帰宅したものです。

 

小6以後は東京都に移り住み、中学時代に初めてわが家にお風呂がついて、気軽に入浴できるようになった喜びは格別でした。
スケート場が近くになく、冬の休日に友達と「よみうりランド」のスケート場に電車に乗って出かけました。

教員になって以後は神奈川県民です。わが子達や生徒達を連れて行った「ドリームランド」や「向ヶ丘遊園地」のスケート場がその後相次いでなくなったのはショックでした。小学生時代の校庭スケート場がいかにレアだったかと想い出されます。

 

信州では、真冬には井戸が凍結してしまって水が出ない朝も珍しくありませんでした。お湯を沸かして井戸にかけて復旧させるのです。「蛇口1つでお湯が出る」のが当たり前の時代に育った、今の高校生や中学生にはピンと来ない話でしょう。先行する我々の世代の体験も、折に触れて語り継いでいきたいものです。