第1098回 アジア諸国の国民性~多彩な暮らしぶりを知る ①

2015年5月15日

大書店へ行くと、文庫本や新書類だけでも膨大な書籍群にクラクラしそうです。新刊書はきれなく次々と登場し、インパクトある書評や知人の推薦があれば探して手にとることはあっても、「全くの初対面で購入」というのは少ないのが実情ではないでしょうか。

今日紹介するのは、ふと立ち読み~購入すぐ読了した新刊の文庫本です。『日本人が意外と知らないアジア45カ国の国民性』(PHP文庫)。ブックカバーも目立ち、写真・イラスト・地図も満載で読みやすい構成であり、在校生や保護者の皆様にもお勧めできると考えたので紹介させていただきます。

 

21世紀に入って、アジアの国々は一段と存在感を増しています。大国・中国やインドのパワーは欧米を将来しのぐとも予測され、日本各地で大量の買い物をする観光客は中国人を筆頭にアジア系の人びとが増加しています。

香港・シンガポール・バンコク・ドバイなどは世界の金融・貿易の新たな拠点として成長し、日本企業は東南アジア~南アジアなど各地に生産拠点を広げています。日本の少子高齢化を支える分野にフィリピンやインドネシアの外国人労働者が就労しています。日本の大相撲はモンゴル系力士が上位を占め、日本の繁華街にはアジア諸国の多彩な料理店が広がりました。

 

しかし個々のアジア諸国の暮らしぶりや、たどった歴史の違いについては、欧米以上に日本では知られれていないことが多々あります。隣同士でまるで異なる宗教や民族のことなど知れば知るほど驚かされます。たとえば「日本と韓国と中国」が隣人同士でありながら異なる側面も相当に多いことはその一例でしょう。

「アジア」とは西方から見た概念です。世界の陸地の約3分の1,人口の約2分の1を占める広大なアジアを、本書では「南アジア」「東南アジア」「西アジア(アラブ圏と非アラブ圏)」「中央アジア」「東アジア」に分けています。
そして各地域に属するアジア諸国・諸地域のプロフィールと、国民性を象徴するような人びとの暮らしぶり、人間関係の特徴や独特の生活習慣などについて説明していきます。

内容の構成上、やや誇張したりステレオタイプになりやすい側面もあるかもしれませんが、アジアの多様性に興味を深め、もっと調べてみたい&行ってみたいと思える入門書として、一気に読める面白さがありました。(明日へつづく)