第1130回 「18歳選挙権」の時代へ

2015年6月22日

先週、日本の将来に直結する大きなニュースがありました。選挙権の年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げる改正公職選挙法が国会で可決されたのです。終戦の年にそれまでの「25歳以上」から引き下げられて以来、実に70年ぶりの改定でした。

来年夏の参院選から、19歳や18歳の若者も投票できる見通しであり、約240万人が新たに有権者に加わります。国政選挙だけでなく、その後の地方の首長・議員選挙にも順次適用されていきます。

被選挙権の引き下げは今回の審議では見送られました。20歳が区切りとなる民法の成人年齢や、少年法の適用年齢の引き下げについても今後検討されることになります。「飲酒」や「結婚」、「裁判」など、年齢による仕切りがどう変わっていくかも注目されます。
若年層の政治参加を目指し、与野党が共同提出した法案は、全会一致で可決されました。近年特に20代の投票率が全体を大きく下回り、若者の政治的無関心も広がると指摘される中で、この措置には広い合意がありました。実は、世界中の約190の国や地域では「18歳選挙権」はもう大部分が採用しており、中には「16歳」」とする国々もあるほどです。

 

この改正により、高校生の一部は早くも有権者となります。

可決の日に関心の深い高校生諸君が国会内で集会を開き、「若者の意見が政治に反映されるようになる」ことへの期待の声が次々表明されたとのニュースもありました。実際に活動しにきた高校生の団体もあり、「ネット投票の実現」といった今後の施策への注目も語られているそうです。

「来年から投票できるようになって嬉しい。どういう基準や視点で政治家を選べばいいか習ったことがなく、学校で学べる機会があればいい」といった高校生の声が聞かれました。学校教育を通じて若者の意識を高める「主権者教育」が、今後ますます重要となっていきます。

これまで投票率の高い世代はまず高齢者でした。選挙を意識せざるを得ない政治家は、高齢者に痛みを伴う政策には及び腰になり結局、政治に無関心な層が多い若者の生活や雇用・収入などにしわ寄せがいく政策に向かいやすい、といった指摘もありました。こうした傾向は修正されていくことでしょう。

 

高校生や中学生には、「自分達の意見や世論は社会のあり方にちゃんと影響を与える」「将来の世の中を築く上で、自分達の世代にも大きな力と責任がある」ことを自覚してもらいたいです。

少子高齢化やグローバル化の進む日本、持続可能な再建をはかるべき世界のこれからについて、生徒諸君が有権者になる自覚を持ちながら、考えて調べて意見を交わす「アクティブ・ラーニング」を、学園教育でも豊かにしていきたいと思います。