第1159回 近代文学にゆかりの深い鵠沼の地域

2015年9月10日

今年度になって本校では、近隣地域の皆様にも公開する形で、藤沢・鵠沼の奥深い歴史や優れた文化に学ぶ企画を、「連続講演会」のシリーズで開催しています。この地域にゆかりの深いテーマを掲げ、その分野に精通した第一人者を講師にお招きし、教職員・在校生・保護者・卒業生や、鵠沼在住・藤沢市民の方々が共に学び、教養を深められる機会になればと願っております。

 

第1期のテーマとして「鵠沼をめぐる人びと」を掲げ、先週土曜日の9月5日には、第3回『東屋に集った作家たち』の講演会を開催しました。会場の幼稚園ホールには120名を越える方々にご来場頂き、会場はほぼ満員になりました。
講師は、藤沢市内にご在住の佐江衆一先生です。数々の文学賞を受賞され、多数の名作を世に出された作家でおられ、かつて鵠沼海岸にあった名旅館とそこに集まった作家・文化人の歴史にも精通された方です。旅館東屋の記念碑が現地に設置されていますが、この建立へ向けて尽力されたのも佐江先生です。

 

先生のお話は、鎌倉時代の鵠沼と幕府の武士との関係やここを通った鎌倉時代を代表する文化人のお話も交えて、明治時代以後、交通の便に恵まれていった鵠沼の地域がどのように開発されたのか、その中で多数の文人に愛された旅館東屋についての詳細、宿泊・滞在・交流した日本近代文学を代表する作家達の執筆や人間関係などについていろいろ説明して下さいました。

志賀直哉と武者小路実篤が白樺派を興し、芥川龍之介一家も関ったことなどは存じ上げていましたが、その他にも谷崎潤一郎や佐藤春夫など大作家達のお話が次々と披露されて興味深く、佐江先生の独特の味わい深い語りや、鵠沼を舞台にした芥川の短編小説のご朗読も交えて皆さんを惹きつけ、ホールは時節沸き、休憩をはさんでの2時間の講演は一気に経過しました。今回の講演会も大好評でした。

近隣にお住まいで、もともと様々な歴史事情、地域事情にお詳しい方々も実に大勢いらっしゃることに気づきました。文学に興味をお持ちの大学生や可愛い小学生達もいらっしゃったことも嬉しかったです。

 

次回の第4回は11月7日(土)、テーマは『岸田劉生について』です。こちらもご都合がつきましたらぜひご参加頂ければと思います。詳しくはHPの『連続講演会<第Ⅰ期>開催のご案内』をご覧下さい。