第520回 特集『貧食の時代~壊れるニッポンの食』を読んで

2012年9月13日

 後期期末試験の第4日です。
 『週刊東洋経済』という雑誌の新刊を買いました。“貧食の時代”という見出しにひかれました。上に「高齢者、会社員、子どもに蔓延する変な食事」、下には「壊れるニッポンの食」という副見出しがありました。

 まず高齢者の間に広がる「食の砂漠」が紹介されます。ひとり暮らしの高齢者が増え、買い物の困難に直面する状況は深刻です。団地や都心部でもスーパーなどが撤退し、生鮮食料品の入手が困難になっています。冷凍食品ばかりで済ませるケースも多く、栄養不足で孤独視する人びとも少なくありません。買い物難民などの「シニア市場」を対象に、宅配・移動販売も広がっています。
 ビジネスの第一線で働く人びとも、健康に響く食事に直面しています。朝食を抜き、昼食は短時間でファーストフード・丼物・お店の弁当をかけこむ。深夜の飲食、トクホへの依存と健康食品の過大広告。女性の間の過剰なダイエットの弊害や添加物の蔓延なども指摘されます。
 子どもをめぐっても、今注目の放射能はもちろん、急増する食物アレルギー、学校給食をめぐる格差など、若者のコンビニ依存、さらには孤食や偏食など様々な実態が心配されています。
 「生鮮が消えた国~食の砂漠大国」と題して、アメリカ大都市の低所得地域の悲惨な状況も紹介されます。ジャンクフードばかりあふれ肥満や糖尿病が上昇する傾向に対して様々な対策が始まっています。
 時代の課題をとらえたシャープな特集であると思われます。最新の関連情報を興味深く得ることができました。ぜひ本屋さんなどで手に取ってみて頂きたいです。

 このような特集は、テレビでも最近よく採り上げられています。中でもまず育ち盛りの日本の子ども達の状況が心配されます。社会全体をあげて「食育」に取り組む必要を痛感します。
 湘南学園では来年迎える創立80周年の記念事業として、「カフェテリア」を中軸とする「80周年記念館」を着工します。そこでは食育の理念を根底にすえた食堂の建設と運営を構想しています。お迎えした生徒の皆さんの成長と健康を支え、美味しくて愛されるカフェテリアの実現を目指していきたいです。