第1410回 明日、卒業する君たちへ

2019年3月8日

明日は卒業式。人生の節目となる大切な一日ですね。

君たちが卒業をする前に伝えたいことが、ひとつありました。

 

君は母校の小学校の先生、あるいは幼稚園の先生にお手紙を書いたことがありますか? もしそのような経験がなかったら一度書いてみてください。中学校高等学校の学校生活を終えるのですから、この人生の節目でいい機会ではないですか? はじめてここでお手紙を書くとするならば、実に6年ぶりあるいは12年ぶりのお便りになるのですね。

さて、その手紙では自分の遠い記憶を辿り、幼かった頃の思い出を綴り、その頃の一日一日の生活が現在の自分にどのように関わっているのか、役に立っているのかを自分なりに表現してみるのです。

自分自身の性格や人格がどのように形成されてきたのかが少し見えてくるかもしれません。

温かな思い出が蘇ってくるときには、きっと前向きなエネルギーが湧いてくるでしょう。

辛い失敗の記憶が思い出されるときは「これからの人生ではこのようにしよう!その方が今よりもずっと上手く生きていけるはずだ!」と新たな知恵が生まれてくるかもしれません。

手紙は自分の心を写してくれる。

そして未来に向かう勇気を与えてくれる。

不思議な力があるのです。

 

君の手紙を受け取る先生・・・・・・きっと君の先生は嬉しいでしょうね。

先生たちは、何年も前に卒業していった君のことを今でもずっと覚えています。自分の教え子を教師は忘れないのです。どんな子だったか、何が光っている生徒だったか、どのような笑顔を見せてくれる若者だったか、どんな持ち味をもつ人だったか・・・・つまり、君という「人」のことを先生たちはずーっと覚えているのです。

*少し年をとってくると、君がどんな生徒だったのかは絶対忘れないのに、時々名前が出てきません。先生たちも老いるのです。許してあげてください。

 

教師は教え子からもらった手紙を大切にとっておきます。捨ててしまうことはありません。生徒がくれた手紙は人生の宝物だからです。君の昔の先生たちは、君が教え子だった時代のことを大切にしながら生きています。

 

 

何年かしたら湘南学園の私たちにも手紙を下さいね。

 

いつ?

 

君にとって何か伝えたいことができたら・・・その時でいいんですよ。(留学、就職、結婚など人生の節目を迎えたときなどでもいいのですが、形式や伝える内容にこだわることはありません。伝えたいことがある時が手紙を書く好機なのです。)

 

何を書くの?

 

喜ばしいことがあったから書くのでも、悲しい出来事が起こったから書くのでもいいのです。手紙を書いて、その嬉しいことや残念な出来事を自分はどのように感じているのか、どのように考えたのか、どのように受け止めているのか・・・・・そうしたことを、文字にしてみるのです。手紙で相手に近況報告をするという形なのですが、自分のことを書いた文字や文をあらためて見てみると、その時はじめて自分がどう思っていたのか・・・に気づく。

そこが手紙の不思議な力。

 

人間には言語があります。日本語も英語もただのツールです。しかし、単なる道具に過ぎない言葉や文字で人は自分を再確認したり理解したりすることができるのです。きっと、自分自身の考えを文字にして書いてみることで自分の頭の中が整理されるのですね。5年後でも10年後でもいいですから、私たち教師に君のその後の人生を報告してください。

 

さて、春から親元を離れる諸君、新しい生活の中に入って忙しくなると思いますが、是非ご家族の方々に手紙を書いてください。「親に手紙?・・・・無理っ!」とちょっと抵抗感がある人もいるかもしれませんが、とても大切なことです。何でもいいのです。些細な事柄でいいのです。離れて暮らしているときに家族への手紙は大切なのです。

親はいつも我が子のことを想っているのです。

元気かな・・・・・?

大丈夫かな・・・・・? といつも心配しているのです。

手紙には、心がこもるのです。

 

明日は卒業式。

大切な人に「ありがとう」を伝えてください。

卒業式の準備をする高3の先生方