第268回 カタツムリは、どこへ行ってしまった?

2011年6月17日

 この時期に、ふと気がついたことがあります。

 最近、「カタツムリ」をほとんど見かけないのです。なぜだか少し気に なっています。
 筆者は信州生まれで、小学生の頃は昆虫少年でした。学校そばの林や、市内の大きな池によく入って、何時間も成果を 求めて動いていました。ウマオイムシやエンマコオロギが家のまわりを包むように生育して、秋の初めの大合唱は 聴きものでした。ついでに家のそばには養蚕場があって、中に入ると大量のお蚕が、どっさり与えられた桑の葉を ムシャムシャ食べる「通奏低音」が養蚕場に流れていました。近所にも「カタツムリ」はいっぱいいました。貝殻をつまんでも、 家で飼うことはなかったですが。
 教員になってまだ若かった梅雨の時期、鵠沼海岸駅から通学路で、一緒になった学年の中学生と、時々小さな楽しみを 経験しました。学校まで「カタツムリ」が何匹いるか数えてみよう、というものでした。道の両側の住宅の塀沿いに いるわいるわ、ここにもあそこにも。カタツムリがいっぱいでした。合計して何匹いたか、“今朝の成果”を 喜ぶのです。一回に30~40匹も数え上げた記憶があります。
 カタツムリは、陸に住む貝類です。殻がないと「ナメクジ」で、あまり好かれないのは可哀想です。殻があると「カタツムリ」と 呼ばれるのです。
 フランスの「エスカルゴ」、スペインでは「パエリア」の具材。海外ではカタツムリが食材にもなるのが驚きです。 日本では・・・♪でんでん虫々かたつむり、お前の頭はどこにある・・・・・・♪、あの名曲のように、カタツムリは身近な 生き物です。
 それなのに、近年急に、カタツムリが街から地域からいなくなっています。
 あまり世間の話題になっていないのがまた可哀想な気がします。理科に詳しい生徒に聞きたい気持ちです。“ あそこに行けばまだいっぱいいるよ”という場所があったら教えてほしいです。