第1421回 二人の留学生

2019年6月21日

湘南学園には、毎年のように世界のいろいろな国々から留学生がやってきます。昨年の9月から本校にお迎えした二人の若者も、間もなく日本での留学を終えて帰国となります。日本の文化に触れながら、さまざまな発見を(そして苦労も)してきたのだと思います。一方、湘南学園にも海外へ向かう若者が増えてきました。彼らも/彼女らも同様にさまざまな経験を積んだのだと思います。

日本にやってくる留学生諸君にも、そして日本から海外へと留学に出る本校の生徒諸君にも共通のものを感じます。彼ら/彼女らが留学を通じて得たものが、生きる力となっていることです。タフで素敵な若者になっていることです。

留学生たちの姿を見ると、「若い時代に何かに挑戦をすること」は、本当に素敵なことなのだと実感するのです。

 

(以下、インタビューの内容です)

 

木下:こんにちは。

二人:こんにちは!

木下:まず、お名前を聞かせてください。

ナイラさん:ナイラです。

キャプシーヌさん:キャプシーヌです。

木下:ご出身の国はどこですか。

ナイラさん:ブラジルから来ました。

キャプシーヌさん:フランスから来ました。

木下:今、何歳ですか。

ナイラさん:18歳です。

キャプシーヌさん:はい、私も18歳です。

木下:なぜ日本に来ることになったのですか。

ナイラさん:長くなりますけどいいですか。

木下:もちろん、いいですよ。

ナイラさん:私が12歳の頃、ロータリーの留学生として私のお兄ちゃんがアメリカへ1年間の留学をしました。それで、ブラジルの私の家庭で、ほかの留学生を迎えるホストファミリーになりました。私の家庭には、17歳の日本人の女の子が来ました。私にとっては「初めてのお姉ちゃん」というイメージがありました。お兄ちゃんがいないから寂しかったけど、その子が来て嬉しかったのです。私は、日本のことが全くわからなかったし、彼女も英語とポルトガル語を全然話せなかったのです。ただ、私は、その子を助けたい(力になりたい)と思いました。「私がポルトガル語を教えるから、反対に日本語を私に教えてくれない?」ということになりました。彼女は、彼女が自分の人生の事とか、全部話してくれました。そのときから日本のことを恋したのです。12歳だったその時から、私はずっと自分で日本語を勉強しました。そしてずっと、ずっと日本に行きたいと思っていたのです。

木下:素敵なお話です。キャプシーヌさんは?

キャプシーヌさん:私の留学の理由は、そんなには長くありません。

木下:もちろん、いいですよ。

キャプシーヌさん:私にとって日本に行くことは、子どものころからの夢でした。日本の文化が好きで、日本に行きたい、行きたい、と思っていました。例えば、料理ですね。日本はフランスと全然違う。本当に夢に見ていました。

木下:お二人とも、よく日本に来てくれましたね。さて、ブラジルの人と日本人の違い、フランス人と日本人の違いを感じてきたと思いますけど、お話してくれますか。

ナイラさん:全部です! まず、日本の人は、素晴らしいと思います。ただ、あまりオープンではないですね。もちろんオープンな人もいるけど、シャイな人が多いと思います。

キャプシーヌさん:そう、シャイですね。

ナイラさん:もちろん世界には、たくさんシャイな人はいるけど、ブラジルではすごく少ないですね。

キャプシーヌさん:フランスも同じです。

ナイラさん:ブラジル人は、うるさいし(陽気で)、すごくいつもハッピーな感じがします。私もそうです。あとすごく違うことは、スキンシップ。それが一番違うことですね。ブラジルでは必要なものなのです。もちろんブラジルでは、あまりハグをしないという家庭もあるけれど、私の家族はいつもします。私とお母さんとも、お父さんも、お兄ちゃんも・・・、仲が良いのです。だから、ハグしたいなという時がありますね。

木下:日本には、そういう習慣がないから寂しいと感じますか。

ナイラさん:そうですね。時々感じます。

木下:キャプシーヌさんはどうですか。フランス人と日本人はどのように違いますか。

キャプシーヌさん:私もナイラと同じ(意見)です。フランス人とブラジル人はうるさい(陽気)です。そしてシャイではないですね。

ナイラさん:そう、挨拶のとき、フランスの人はよくキスするね。

キャプシーヌさん:そう、でも日本では無理ね(笑)。

木下:日本にはそういう習慣はないからね。

二人:そうですね。

木下:留学してもうすぐ1年になりますが、日本語はどうですか。

ナイラさん:私、日本語が大好き。難しいけれど。6年前ずっと、日本語に対して同じ考え方でした。日本語は素敵だと思ってきました。例えば漢字です。どの漢字にも意味がある。そこが大好きです。勉強は大変なのだけど…。あと漢字の書き方、似ているところがある。例えば、「心」という文字がほかの漢字の中にも入っていたりする。それらの漢字には「心」という意味が入っているということ。そういうのが好きです。

木下:漢字には意味があるというところが好きなのですね。そこを発見してくれたのは素晴らしい。キャプシーヌさんはどう?

キャプシーヌさん:はい、日本語は本当に難しいです。

木下:留学が始まったころ、日本語は理解できませんでしたか。

キャプシーヌさん:はい、わかる日本語は少しだけでした。でも頑張りました。だんだんわかるようになりました。少しだけですが。

木下:留学中に辛かったことは?

ナイラさん:あります。留学というのは、tripやvacationとは全然違うということ。楽しいことばかりではないのです。留学はどこでもそうなのですね。その国の言語とか、自分の国とは違う勉強をしなければならない。私たちの国と日本の違いも勉強しました。日本の子とハグはしない、それも勉強でした。自分の国から一人で来て知らない人と一緒に住むのは、大変なことなのかもしれないと思います。もちろん楽しいこともありますが、時々お母さんに会いたくなりました。友達と話したいと思っても、ブラジルの時間は日本とは反対なので、自由に話しができないと思うこともありました。

木下:将来の夢をお聞かせください。

キャプシーヌさん:私は、写真家になりたいです。写真大好きです。日本でもいっぱい写真撮りました。それが将来の夢です。

木下:素敵な夢ですね。

ナイラさん:彼女はプロなんです。

木下:プロ? 写真を撮るのが上手いということですか。

ナイラさん:すごく上手です。見たら、びっくりしますよ。

木下:今度撮った写真を見せてください。

キャプシーヌさん:はい!

木下:ナイラさんの夢は何ですか。

ナイラさん:わたしは将来、漫画家になりたいです。もともと私にはそういう考え方があって、ブラジルにいた時から、日本っていいなって思っていました。大変かもしれないけど、その仕事がしたい。

木下:絵と写真、二人とも芸術なのですね

二人:そう、そう(笑)。

木下:では、これからも頑張ってください。  Muito obrigado!  Merci beaucoup!

二人:おお、ステキ(笑)!

木下:日本語では、「ありがとう」に対して「どういたしまして」と言いますが、ポルトガル語では?

ナイラさん:De nada.

木下:フランス語は?

キャプシーヌさん:De rien.

木下:それぞれの国の素敵な言葉ですね。今日は、お二人ともありがとう。

二人:どうもありがとうございました。

(最後まで、しっかりと日本語でインタビューに答えてくれましたね。お二人とも立派でしたよ!)