第1422回 未来の教師たち

2019年6月28日

今年度の教育実習期間が始まり、3週間目となりました。

教職を志す諸君に、お話をお聞きしました。以下、インタビューの内容です。

 

 

木下:それでは、皆さんのお名前、在籍する学部およびご担当をお聞かせください。

松本先生:松本篤彦です。先進理工学部に所属しており、担当は中学1年生の理科1です。

宮崎先生:宮崎祐希です。栄養科学部です。実習教科は家庭科で高2C組を担当しています。

河村先生:河村理香子です。文学部に在籍していて、科目は国語です。中学1年生の国語Bを担当しています。

田村先生:田村紗理菜です。保健学部に所属しています。担当教科は保健科なのですが、養護教諭の勉強もさせていただいています。担当は高1D組です。

市川先生:市川葉菜です。理学部に所属し、担当は中学1年生の数学αと数学βを担当させていただいています。

木下:αとβの2種類ですか。それはたいへんですね。

市川先生:はい、とても大変です(笑)。

 

 

木下:教育実習が始まって2週間が経過しましたが、これまでを振り返って、皆さんから一言ずつお願いします。

 

松本先生:この2週間、いろいろな体験をさせていただきました。授業以外でも理科研究部で指導などもさせていただきました。教科の面では、実験の教壇実習、板書をする教壇実習などです。実験実習になると生徒に対して話しをする場面が多くなるので、話し方や説明のしかたの難しさを感じています。クラスによっても特色の違いなどがあるというのは結構意外な点でした。

あとは・・・率直に・・・「(教職が)こんなに大変なのか・・・」というところはありますね。(ここで一同、頷きながら「うむ、その通り・・・」という表情と笑いが起こります)。

 

宮崎先生:中学2年生の授業の見学や、中学3年生の実習の補助というかたちでお手伝いをさせていただいたり、高2の授業や高3の実習も見学させていただいております。いろいろな学年を見ることができて、それぞれの成長過程の特徴を感じました。学年の特色、雰囲気、生活面での様子など、いろいろと違うこともわかりました。例えば、中学2年生ですが、結構元気があったり(笑)・・・、先生方も大変なのだなということがわかりました。

 

木下:はい、大変なんですよ(笑)。

 

宮崎先生:高校2年生は文理に分かれていることもあり、クラスによって雰囲気や授業に対する意欲など、様々な面で異なることがあるのだということも実感しました。

 

河村先生:何度か先生方の授業を見学させていただきました。自分が高校生の頃には、なかった視点というものを持って実習をさせていただいています。また、高校生の時にはわからなかった先生のありがたさというものがわかったような気がします。

「(教職は)大変なのだろう・・・」という想像はしていたけれども、やはりそれを上回るご苦労を先生方が毎日されているのだなと思いました。「先生方は本当にすごいのだな・・・」という尊敬の気持ちを感じています。やはりこの立場に立って初めて分かったなというのが第一にあります。

 

木下:涙が出ますね(一同、笑)。

 

河村先生:実習生同士で話していたのですが、自分たちが高校生のときには理解できていなかったことが、今になってよく分かってきたように思います。

私は中学1年生を担当させていただいています。生徒のみんなが、すごく元気・・・。「自分が中1の時ってこんなにうるさかっただろうか・・・(笑)・・・いえ、元気だっただろうか・・・(笑)」というのをすごく思うくらいに、その元気さが嬉しいというか、活力になるのです。時には「精気を吸い取られる・・・」と思うことがあるくらい元気があると感じています。

2週間を経て、自分のクラスの子たちが話しかけてくれることが増えましたし、他のクラスの子たちも「あ、先生っ」と話しかけてくれたりするとすごく嬉しいなと思います。

今、実習で取り組んでいるのが文法の授業です。この授業では「自分の言葉で表現する」ということをテーマにしています。教科書や決まった教材がなく、「ある写真を選んでその写真を言葉で表現してみよう・・・」、という取り組みをしているのです。この方法は、高校時代に自分自身が習わなかったことであり、大学でもそういうことを授業で勉強してこなかったものなのです。自分にとって「初めてすぎる世界」でした。とても悩みました。「ああ、どうやって授業を進めたらいいのだろう・・・」と思っていたときに、「こういう写真はどうですか・・・」と声を掛けてきてくれることがあり、生徒から励まされながら頑張っています。

 

木下:新しいチャレンジというのは勇気がいるけど、ある意味では、楽しいのではないでしょうか?

 

河村先生:そうですね。この授業に取り組む前は、「逃げたい(笑)・・・」と思ったのですがが、実際に授業に取り組みながら生徒の反応を見ていくと、「あ、こんなんことを思うのか・・・」「こんなことを読み取れるのだな・・・」などの発見があり、自分もすごく勉強になりました。そしてとても楽しいと感じています。

 

田村先生:私はまだ授業はしていないのですが、生徒とはホームルームや総合学習で関わることができています。担当クラスの生徒と関わる時間は少ないのですが、そのような中でも空き時間などに、関りを持とうとして近寄ってくれる生徒もいます。反対にこちらからもなるべく多くの子と関われるようにしたいとも思っています。ある時、生徒の名前を呼ぶと、「先生、覚えていてくれたんだ・・・」と言ってくれることがありました。これまでの2週間の実習の間で(自分のことを)少しは受け入れてくれているのかな・・・と思うことができたのです。

この立場(教師の立場)になって、授業の流れを考えたりする先生方の仕事を見ていると「やはりこういうのってすごいな・・・」と、先生方の「すごさ」がわかるという面もありました。あと保健室でのことですが、人間関係や受験、進路など悩むことがたくさんあるのだなと感じています。

 

市川先生:教育実習の第1週目は、授業見学以外にも総合学習や、新入生オリエンテーションなどが行われていて、さまざまな様子を見学することができました。

新入生オリエンテーションでは、上級生たちが新入生に向かって「勉強はなぜするのか」や「勉強の仕方」、「時間の使い方」などをテーマに話しをしていくという場面がありました。自分が在学していた時にはなかった取り組みでしたが、中学校に入学した時期に「なぜ勉強するのか・・・」ということを考えることが出来る環境があるというのは、すごいことなのだなと思いました。

総合学習では、「自分の嫌いなこと(好きなこと)や得意なこと(苦手なこと)」をテーマにした取り組みが展開されていました。「自分の好きなところを探して自分を認めることで、他人のことも認めることができ、より良い関係が生まれる・・・そういうきっかけになる活動が行われていたのです。とても良い総合学習なので驚きました。

実は中学生まで、数学が苦手でした。当時の私は、疑問点があると頻繁に数学の先生に質問をしていました。それが、今では教える立場になったのです。わからない人に教えるという視点が加わりました。指導教官の里吉先生からは、「なぜ分からないのか・・・」ということに目を向けて授業を行うということの大切さを教えていただきました。深いテーマだと思います。授業を行うということは難しいことなのだと思いました。

 

木下:今度は、今後の目標や抱負をお聞かせください。

 

松本先生:物理や化学といった理科1の学習では、言葉の定義が大切です。一つひとつ正確に調べなければなりません。間違えを教えてはいけませんので、ちゃんと正しく伝えられるようにしたいと思っています。

自分自身は、小さいころから理数系に興味があり勉強も好きでした。一方、周囲を見てみると、理数系が嫌いだという人も結構いたのです。大学に進み、塾のチューターなどをしていたころに、理数系科目が嫌いになってしまった生徒に尋ねてみると、中学入学など環境が大きく変わったときに躓いている子が多かったように思います。彼らの話を聞くと「授業が楽しくない・・・」という声が聞かれたのです。そういうこともあり、私としては、生徒が楽しめる授業が作れたら・・・と思っています。ただ、それが結構難しいとも思っています。将来、教員になったら、どのようにしたら楽しくなるか、分かりやすくなるか・・・など考えていくことを大事にしていきたいなと思います。

 

宮崎先生:まだ、授業が少ないこともあり、実は自分の担当ホームルームクラスでの授業を行っていないのです。明日は研究授業があり、初めて自分のクラスでおこなうのですが、ホームルームクラスなので安心しています。もう1回ずつ、4クラスに対して授業があります。クラスによって反応も違うので、授業を聞いてもらえるような工夫をすることが大事だなと思いました。

授業では、「家族」をテーマにした学習を進めていますが、こうした授業を通じて初めて考えるという生徒も多いと思います。せっかくの場なので、効果的に考えてもらえるような工夫をしていきたいなと思います。

 

河村先生:指導教官の福田先生からは、3週間で完全に顔と名前は一致して欲しいと言われました。初日に名簿とかを写真を頂いたので、名前は全員言える自信はあるのですが、まだ、全員とちゃんと会話が出来たのかというとそうではないのです。名前を呼びつつ、全員とちゃんと会話をするということを遂げたいなと思います。よく話しかけてくれて会話ができた生徒もいますが、ご縁があって3週間担当させていただいたので、何か少しでも会話が、できたらなというように思っています。

なるべく全員が1回は発言できる授業にしたいなと思っているのですが、現実は・・・、授業を行うたびに課題が見つかるという状況なのです。むしろ最初の方が、「当たって砕けろ精神」で取り組んでいたのですが、授業のたびに「ここがダメだった・・・」という課題が見つかります。難しいですが、3週間のうちになるべき改善できるところは改善したいなと思いますし、生徒が何か学びに繋がるというか、この授業でこんなことをやったなって、授業の内容を覚えていてくれたらと思います。

 

田村先生;:私はあと1週間で、保健科の授業を1単元だけ担当させていただくのですが、養護教諭の専門知識も生かせるような、そして養護教諭だからこそできることもあるのではないかと思って、そこを自分の中ではすごく大切にしたいと思います。保健室の方では、あと1週間のなかでも、養護教諭の先生方の様子を見学しながら、少しずつ自分にもできることを身に着けていきたいと思っています。

 

 

市川先生:あと1週間ですが、自分らしさが出るような授業を模索したいと思います。数学って楽しい、計算って楽しい、図形って色々な性質があって面白い、と思ってもらえるような授業が出来たらいいなと思っています。

 

木下:ではみなさん、引き続き頑張ってください。本日はありがとうございました。

一同:ありがとうございました。