第623回 はずむ交流と対話~次世代の友好への貴重な一歩

2013年2月18日

 テクノエリア4階の調理室は、陽当たりが良い素適な部屋です。年間を通して実習授業や様々なイベントで活用されています。
 先週土曜日の2~3校時は、昆明の大学生達が高2の家庭科の授業実習に参加し、在校生達と一緒に餃子などを作りました。さすがに本場中国で餃子なら任せて!のリードにも恵まれながら、在校生達と笑顔で和気あいあいと調理を進める光景は実に感動的でした。2つのクラスでバトンタッチしてもらって仕上げ、みんな一緒に美味しい水餃子に舌鼓をうちました。

 その後「日中豪青年シンポジウム」は、クラスエリア1階のレッスン2教室で行いました。学園全体の理事長、学園長、今回最大のお力添えを頂いた同窓会の会長を始め、協賛して頂いた企業や藤沢市国際課の方々、取材に来て下さった方々、生徒会総務委員を中心とする在校生諸君など幅広いご参加に恵まれました。PTAから記念品の授与も頂きました。
 シンポジウムの主役は、雲南大学で日本語を専攻される皆さん、学園を卒業して大学で学ぶ先輩諸君、そして学園へは団体ツアーと留学に次ぐ三度目の来園にあたる豪州ノックス校のニコラス君です。それぞれの学生生活を紹介し、お互いの社会について感じることなど伝え合い、今後の人生の目標などを語ってもらいました。
 まず昆明市の皆さんが、日本語修得へ向けたハードな授業や独学で日々頑張ってきたことを改めて知りました。専攻する日本語を生かした就職をしたい人や、好きな文学で日中間の翻訳の仕事で架け橋になりたい人など、様々な今後の夢が紹介されました。
 ニコラス君は、日本人は親切で優しく、皆で協力して1つの仕事に取り組む姿勢に感心したと語り、今後はツーリズムを学んで、旅や観光を通じて世界の人びとがお互いを知り合い理解し合えるような事業に関わっていきたいとの目標を語ってくれました。

 先輩卒業生が在校生に語りかけた話も印象的だったので、まとめてみます。
 上田さん(青山国際政経)は、米国で学生達がどんなに勉強していたか、日本の大学生の現状がどんなに対照的かを伝え、目的意識を持ってこの大切な時代を生かすこと大切さを語ってくれました。中村さん(慶應総合政策)は、中東問題への関心からイスラエルで研修した経験をパワーポイントで説明し、「足を出してみる」勇気と「現地で学ぶ」ことの大切さを訴えました。東風谷さん(横市国際総合)は、渡米直前の中で来園してくれ、視野と関心の広がる充実した大学生活を紹介し、家族や周囲の人達の様々なサポートがあって新たな体験を重ねられる感謝の気持ちを在校生も改めて心に留めて欲しいと話してくれました。
 竹之内君(東大文系)は、受験まで学び続けた力も生かして自分の選んだテーマに取り組みたいとし、自分の育った街が大好きな事もあって都市計画の分野に関心を強めていると話し、後輩達には迷ったら踏み出してみようと語ってくれました。藤井君(東大理系)は、様々な情報、時には扇情的な一面的な情報が飛び交うこの社会において、学び続ける意味はまず自分が騙されずに理解し、主体的に行動していけるようにするためではないかと問題提起をしてくれました。

 この一週間昆明の皆さんには、湘南学園中高の様々な日常授業に参加してもらい、放課後には中国語講座を担当してもらい、江ノ島や鎌倉への遠足やホストファミリーのお世話で楽しい交流を重ねてもらいました。
 昆明市大学生の皆さんは、初来日とは思えないほど日本語を使いこなせ、予想以上に在校生諸君とのコミュニケーションがとれました。引率の譚先生の流暢な日本語、温かくて心配り豊かなお人柄も素晴らしくて印象的でした。
 新聞記事にもあったように、いろんな事前の印象があったけど、中国の大学生に実際会ってみれば、“皆優しくて話しやすい”“親しくなれて印象が変わった!”といった在校生の感想にたくさん接することができました。

 今回の一週間の交流は、実に様々な方々から多方面のお力添えがあってやっと成立できた、本当に貴重な結晶であったと感じます。今回の交流機会を設けて本当に良かったなとしみじみ思います。
 日本と中国は長い歴史を改めて大きく振り返れば、とても深い関わりや支え合いが続いてきた両国であることに気づきます。いま最も大切なのは、今後の国際社会を担う若い次世代の人たちが、直接に出会って語り合い、交友を深めることであると再認識いたしました。今回の経験を貴重な起点として、今後どこかで具体化できる継続的な交流についても可能な範囲で探っていきたいと考えています。