2015年度 オーストラリアセミナー5日目

2015年7月24日

 例年、オーストラリアセミナー期間中に、メルボルンの南にあるフィリップ島へ行き、そこで、海から地上の巣にいる子ども達に餌を与えに来るリトルペンギンの上陸の様子(= ペンギンパレードと呼ばれています)を見たり、コアラの保護センターに行って、間近でコアラを見たり、野生のペリカンへの餌付けを見たりして、フィリップ島遠足を楽しんでいました。

 今回は、少し思考を変えて、メルボルンから車で2時間程乗って「サバリン・ヒルズ・バララット」という町に遠足に行きました。ここは、1848年のアメリカカリフォルニアでのゴールドラッシュの後、1850年代にここメルボルン近郊のバララットという丘で金が見つかり、世界中から多くの人々が一攫千金をねらってやって来ました。ここバララットもカリフォルニアと同様に、実際に金を掘り当てたのは、一握りの人ではありましたが、ヨーロッパはもちろんのこと、香港やカリフォルニアからも金を求める人々が押し寄せたそうです。

 ここバララットは、ゴールドラッシュで有名なだけでなく、オーストラリアンデモクラシーの発祥の地としても位置づけられています。当時、オーストラリアは、まだ1つの国として存在していなかったため、バララットの金を取り仕切っていたのは、ビクトリア州政府でした。政府は、金の採掘権としてのライセンスを金鉱発掘人達に発行していましたが、このライセンスを手に入れられる人々とそうはいかない人々が出て来ました。また、高額のお金をビクトリア政府に支払ってライセンスを手に入れたにもかかわらず、多くの人々は金を手にすることが出来ませんでした。結局、金を手に出来たのは、大きな力を持つ金鉱会社ばかりで、金は、彼らとビクトリア政府の山分けとなり、ライセンス料で得た儲けも、ビクトリア政府のものとなり、富める者とそうでないものとの間に、大きな大きな不平等な格差が生まれました。

 ライセンス料で儲けるビクトリア州政府に対して、金の採掘人達は、立ち上がりました。そしてついに、1854年に採掘人達とビクトリア州政府との間で武力衝突が勃発してしまいました。これを人々は、Eureka Stockade と呼びます。この戦いは、州政府の勝利に終わりましたが、その後の裁判にて、採掘人達が裁判で勝利し、金鉱のライセンスは廃止され、その後、採掘人達の代表者がビクトリア政府議会に議員として派遣されることになったのです。この時に、採掘人達が掲げた旗には「南十字星」がデザインされ、その後、オーストラリアがイギリスから独立して、イギリス連邦の1つとしての独立国家となった際に、その南十字星は、オーストラリア国旗の中に入ることになったそうです。オーストラリア人達は、この1854年の出来事をオーストラリアンデモクラシーの始まりと呼んでいます。

 ここバララットでは、実際の金鉱に潜って行って見学したり、金がとれた川で金を採ってみたり、当時の街並みや 人々が暮らした家々が残る通りを散策したりしました。そして、夕飯後に、今日のメインイベントであるバララットでの戦いを再現するような大きな大きなショーを見学しました。もちろん流れる音声はすべて英語なので、僕達にとってはかなりハードルが高いものでしたが、上述したようなオーストラリアの歴史を凄い演出で作られたショーによって、ズシンズシンと感じることが出来たのではないかと思います。そういうわけで、今日はとてもとても興味深い1日を過ごすことが出来ました。