第477回 全校朝礼~教育実習生12名を迎えて

2012年6月11日

しっかりと梅雨本番になりました。蒸し暑い毎日の通学や通勤をなぐさめてくれるのがアジサイです。いろんな色、いろんな形の紫陽花の咲く様子にしっかり目を向けながら通います。今年は仕事で「あじさい祭り」等に行けないのが残念ですが、わが家の庭も賑やかに咲き誇って楽しませてくれます。雨が降る日には花も葉も元気を増すのが感じられます。

本日は、約1か月ぶりの全校朝礼をアリーナで行いました。前期中間試験が先週に終わって、夏休み前のこの期間を充実させるべく、気持ちをリフレシュすべき時です。各学年の特活(総合学習)も本格化します。今回の朝礼は、本年度の教育実習生を迎えて、初日に全校へ紹介する機会ともなっていました。

1.校長の話
2.教育実習生の紹介と挨拶
今年度は何と12名の卒業生が3週間の教育実習をします。今までで一番多い人数の実習生を迎えました。1100名以上の全校生徒の前で自己紹介するのは相当に緊張したようでした。各クラス、各授業でいよいよスタートです。

3.部活動の表彰
・陸上部 全日本中学校通信陸上 県大会兼学校対抗
男子4×11mリレー 第3位 中3宮本・植草・杉本、中2松本
・書道部 かながわ書道まつり パフォーマンスコンテスト 演出力賞受賞
高3大脇・岩崎・小澤、高2秋田・高橋 高1木川・小林
中2渡部・井上海・保岡・井上愛・那須野

おわりに、本日の校長からの話の内容を、これまで同様に紹介させていただきます。

皆さん、おはようございます。まず、おとといのオープンキャンパスのお礼を伝えます。今年もあいにくの雨で、残念ながら外のプログラムを中止にしました。その中で運動部、文化部、生徒会の総務委員会など、おおぜいの在校生の皆さんに運営を手伝ってもらいました。受付、誘導案内や、部活の指導、更に午後の相談コーナーに至るまで、とても親身に対応してもらいました。駅から学園までの道案内と挨拶は、今回も野球部の諸君が担当してくれました。
参加者の方々から、皆さんの丁寧で心のこもった応対について、たくさんのお褒めの言葉を頂いています。皆さん、本当にありがとうございました。

また先週は、中間試験が行われました。このあとテストの返却が始まります。皆さん、期待でドキドキ、または心配で心配で、けさ登校してきたことでしょう。
でも、結果として出てくる点数だけを気にし過ぎるのは、良くありません。大切なのは、徹底したテストの復習と、4月からの自分の勉強の振り返りです。気持ちを切り替えて、今後への展望と決意を持って欲しいと思います。

さて、今日から教育実習が始まります。今年度は実に12名もの先輩達が、3週間の教育実習を行います。授業で、HRで、時には部活で、体当たりで皆さんにぶつかっていくはずです。皆さんからもどんどん、実習生の先生達に声をかけて下さい。
ここにいる先輩達は、将来の進路目標のひとつとして、教職の道を選んでいます。
学校の教員になるためには、こうして「教育実習」を受けなければなりません。一方では、教職を目指す人向けの専門の授業をいろいろ受ける必要があります。そうして大学を卒業する時にやっと、「教員免許状」を手に入れられます。その先には更に「採用試験」があります。公立学校はたとえば神奈川県や横浜市が試験を行います。私立学校では県によっては共通試験を経て、各学校が独自の採用試験をします。
湘南学園でも、たとえばある教科で、ひとり新しい先生を迎えるために募集を行います。多くの人達に、筆記や面接や模擬授業などの選考を受けてもらって、採用を決めます。

どんな仕事に就くにも、必要な準備や修業、時には専門の勉強や資格の取得が必要です。自分の就きたい仕事が選べたら、その準備を重ねて、力を蓄えます。そして仕事を得てからも、経験を重ねて成長しながら、また学び続けていくのです。
ここにいる高校生、中学生の皆さんにとっては、まだ少し先のことです。でももうそう遠くはないともいえます。この湘南学園にいる時代に、将来自分が進みたい進路や、自分を生かして働いていきたい分野を、大まかにでもイメージし、出来れば夢や目標として心に決めておくと、大学受験やその先の就職活動にきっと元気で向かっていけます。

いま大学生が、グローバル社会と呼ばれる新しい状況や経済の大きな変化の中で、厳しい「就職難」に直面していることは、皆さんも少し知っていることでしょう。
いま日本で、四年生大学を出て正式に就職できた人はどのくらいの割合だと思いますか。・・・・・・昨年春のデータでいうとそれは約62%でした。大学院や専門学校などに更に進学してスキルアップを図った人は約16%です。その他卒業したけど就職も進学も決まらなかった人などは22%でした。
しかも正式に就職しながら三年以内に退職した人は20数%にも及ぶそうです。私もすぐに一度転職してから教員になったので大きな顔は出来ませんが、どうでしょう。厳しい数字だとわかりますね。
もうひとつデータを紹介します。25歳~34歳という「働きざかり」に入る年齢で見ると、「非正規雇用」の人たちが男性だけでこの20年間に約5倍、全体の率で15%にもなったそうです。いわゆる正社員でなく、パート・アルバイト・一時契約・フリーターなどで働く人たちが、いま日本社会でじわじわと増えています。やっと大学を卒業しても就職が決まらない学生、自分の働く拠点が定まらない若者達が増えているのです。

そうした中で、ここにいる先輩達は、「教職」という有力な選択肢を得ています。それでは皆さんは、いま「あこがれの職業」とか「関心のある仕事の分野」を持っているでしょうか。小学生対象のアンケートでは、よくスポーツ選手とかお店屋さんが挙がります。いろいろと現実を知り、希望を修正したり、組み替えたりして人生は進んでいきます。まだ何も希望がないという人は、素朴でいいから、ぜひ探してみましょう。
少し暗い話をしてきましたが、世の中はすごく広くて、自分の夢や目標をしっかりと持てた人にとっては、ちゃんといろんな出会いやチャンスが待っているものです。強い意志を持てば、必ず道は拓けます。その事は、特に皆さんに強く伝えておきたいことです。
この世の中には、様々な職業、仕事が、実に「何万何千」とあります。大切なのは、自分の得意な事、好きな事、長所や適性を生かせる分野をつかむことです。この世の中を広く見て、調べて出会って考えてみましょう。もう1つ大切な事は、自分が働くことが他の人たちの生活や幸せにどこかで役に立つ、社会の進歩にも貢献できる、という手応えを得られることだと思います。

そのためにも、日頃から世の中の動きにアンテナを張りましょう。たとえばテレビも重要だと思います。私はTVで一番よく観るのは、「ドキュメンタリー番組」です。様々な人びとの懸命の暮らしぶりや、こだわりのある仕事ぶりを知るのが好きです。そして、チャンスがあれば、実際に人びとに会えればもっとインパクトがあります。様々な機会を通じて、世の中には「こんな人生や生き方があるんだ」と知ったり、「こんな協力やつながりがあるんだ」と気づくことがすごく大事だと、いつも考えています。

湘南学園では、各学年で、総合学習にあたる「特別教育活動」を行っています。たとえば、高3の皆さんは、今月30日に特活があります。今年も社会の諸分野の第一線で働いている方々をお招きして座談会が行われます。現在のお仕事の悩みや願いはもちろんのこと、その方の生き方とか、人生の価値をどう考えておられるか、ということに注目して欲しいです。同じ仕事に就けなくても学べる、仕事の視点とか使命感といったものに関心を向けて欲しいと思います。
これから、中高6学年すべての学年で、特活が本格的に行われます。社会に生きる様々な人びととの、出会いの機会も含まれています。特活は、班やクラスや学年の協力関係を広げながら、様々な人たちを知り、お話を聞き、体験や交流を持てる貴重な機会です。皆さん一人ひとりの、今後の生活と人生に向けて、何かヒントや意欲や問題意識を持てる機会に恵まれるかもしれません。どうか特活にも気持ちをしっかりと向けて、積極的に学んで下さい。
また来週の土曜日には、昨年に引き続き文化部合同で東日本大震災「チャリティーイベント」が開催されます。今年もこの企画をとても期待しています。この日をバネにして、自分達は今後何を続けていけるかについても探って頂きたいです。

それと節電のお願いがあります。原発の再稼働問題で国の政治が揺れていることを知っている人も多いことでしょう。この夏の電力供給も、大変な制約に直面します。
学校としても、前回の夏に続いて「節電」の努力が求められます。基本的には昨年の水準を踏襲する予定です。クーラーの使用や教室の照明など、省エネの心がけをお願いします。
また関連しますが、生徒の皆さんに制服をきちんと着用して欲しいと思います。「夏服」の着用期間に入りました。もう「冬服」ではありませんし、無駄な電気を減らし、季節感ある学校生活を送るために、「夏服」着用の徹底をお願いします。現在の制服を導入した時代には、先輩達はきちんと区別して着ていました。徐々に着こなしが変わり、「見た目がバラバラ」な状況については、保護者や外部一般の方々、卒業生からも指摘があります。導入当初の状況に戻していきたいと思います。
特にこれからの節電については、改めて文書でお願いしますが、一人ひとりの自覚と協力をお願いします。

・・・・・・それでは以上で私の話を終わります。長時間ありがとうございました。