第1382回 人との関係づくり

2018年6月22日

湘南学園には、現在1166名(中高全体)の生徒諸君が在籍しています。
そのうちの多くが神奈川県内から通学していますが、東京都や静岡県から通学する生徒もいます。さまざまな地域に住む生徒そして保護者の方々が、湘南学園を選び、入学を決意してくださったのです。まず心から感謝したい思いです。

さて、入学すると、さまざまな人間関係が生まれます。趣味が一致したり、気があったり・・・など、いろいろな場面で「親しい関係」が作られていくことはとても素敵なことです。素晴らしい友達と出会うことができるだけで、「この学校に入学してよかった・・・」と思えるほど、良好な人間関係ができることは、どの人にとっても重要なのだと思います。

では、どのようにしたら、人と上手に繋がることができるのか?
どのようにしたら、人と分かり合うことができるのか?

人との関係づくりについては、私自身を振り返ると、成功(少)も失敗(多)もありました。
「人間関係とは実に難しいものである。」と、考えたくなる時もありました。しかし、いろいろなところを見渡してみると、人と繋がるのがとても上手な人がいるのですね。そしてその人々を見ていると、彼(彼女)らは、ある努力をしていることがわかってきました。

今回の朝礼では、「人と繋がることの大切さ」をテーマにしました。

皆さん、おはようございます。中間試験も終わりようやく開放されましたね。さて、本日はみなさんに一つのお話をさせて頂きたいと思います。
みなさんは、今年の2月に行われた冬のオリンピックを覚えていますか?

さて、この冬のオリンピックで私の心に残る写真があります。これをご覧下さい。
(小平選手とイ・サンファ選手の写真を見せました。)

みなさんもよく覚えているのではないですか。スピードスケート女子500mで優勝した小平菜緒選手ですね。小平選手は信州大学教育学部卒業の32歳、ベテランの選手です。このレースは皆さんもよく知っているのかも知れませんが、三連覇を目指す韓国のイ・サンファ選手との戦いとなりました。

結果は、小平選手が勝ちました。でも、勝利のそのあとで、小平選手は敗れたイ・サンファ選手のもとに寄り添い、韓国語で
「すごくたくさんの重圧の中でよくやったね、私は相花のことをリスペクトしているよ」、と伝えました。

・・・だれもが感動した瞬間でしたね。
実は、私は、このときこんなことを考えていたのです。

「外国語を学ぶ本当の意味はこういうことなのだ。」

自分の言語ではなく、相手の言語を使って相手に寄り添っていこうとする気持ち。
それが、人の心に響くのだと思うのです。

例えば、湘南学園の生徒諸君は英語を勉強していますね。その英語を学ぶ意味を考えて見て欲しいのです。確かに英語を学んだら、大学に入ることが出来るとか、就職に有利だとか考えますね。ある意味では、それが現実なのかも知れませんが、どこか少し寂しい理由ではないですか?
外国語を学ぶ理由が「誰かと繋がるため」だとしたら、素敵なことだと思いませんか。

さて今日のテーマはここからです。人とどのようにしたら繋がることが出来るのか?人との繋がり方が苦手だった私は、人と繋がるのが上手な人を観察しました。その人たちを見ていて私なりにその答えを考えてみました。そうすると、やはり・・・
「自分から相手に歩み寄る気持ちがあればいい」という結論に達しました。

テクニックは不要です。相手を認め、受け入れ、大切にすればいいというだけです。
実にシンプルです。

小平選手は、きっと素直な気持ちで自然に寄り添ったのだと思います。素敵ですね。

そしてもう一つ。私の身の回りには、人間関係作りがとても上手な人たちがいます。その人たち観察していると、ある一つの共通点が見えてきます。みな、同じことが出来ているのです。何だと思いますか?

・・・彼らはみな、「相槌を打つのが上手い」ということです。
相手の発言を聞いて、「そうだね、なるほどね」というのです。

でも、自分は反対の意見なのだ!そういう場合はどうしたらいいのでしょう?
そういうときは、これです。

「そうだね。なるほどね。でも私はちょっと違う意見をもっているのです。」と、一度は相手の言葉を受け止めて、その上で自分の意見を述べる。というやり方です。どうです?やってみませんか?相槌。